レトロな三輪EV 英モーガン「XP-1」コンセプト公開 量産化に向け試験中
公開 : 2023.12.07 06:05
・モーガンが電動三輪車のコンセプトモデルを初公開。
・「スーパー3」のEV版。量産化を目指してテスト中。
・航続距離約240km、最高出力136ps。レトロな外観を維持。
「スーパー3」のEV版 車重700kg以下
英国の自動車メーカーであるモーガンは、バッテリー駆動の三輪車コンセプト「XP-1」を発表した。EVの開発・製造におけるノウハウの蓄積を目的としたもので、車重700kg以下、航続距離240kmを実現しているという。
XP-1コンセプトのベースとなっているのは、2022年に発表されたスーパー3で、ボディとアルミニウム製モノコックシャシーを流用しつつ、フォード製ガソリンエンジンを電動パワートレインに置き換えた。
このパワートレインは、モーガンのマット・ホールCTO(最高技術責任者)の監督の下、社内で設計・製造されたものだ。同氏によると、XP-1は現在の形で量産化されることはないが、市場投入に向けた厳しいテストと検査を受けているという。今のところ、コンポーネントとサソフトウェアの開発支援が主な目的とされる。
モーガンは2016年にも「EV3」と呼ばれる三輪EVコンセプトを披露したが、パワートレイン供給体制の問題から量産化は断念された。その後、2021年にホール氏がCTOに就任し、新体制の下で電動車開発に再挑戦してきた。
航続距離約240km 空力性能も改善
新開発のXP-1では、コンパクトな電気モーター(最高出力136ps)をシャシー中央のトンネルに搭載している。駆動力はプラネタリーギアを介し、ベルトではなくチェーンで1本の後輪に送られる。
英国のゼロEV社が製造する33kWh容量のバッテリーはボンネットの下、通常はエンジンがある位置に搭載される。インバーターは助手席の下に設置される。1回の充電での航続距離は約240kmで、車両重量はベースのガソリン車より60kgほど重いが、700kg以下に抑えられている。
ホール氏は、慎重な部品選択によって重量を抑えられたことに「非常に満足している」と語った。パワートレイン全体のサウンドは「明らかに電気的」なものだが、音質は「チューニング」されているという。
XP-1の基本構造は標準のスーパー3と同様だが、開発チームが重量と重量配分の変化に応じてさまざまなセッティングを試しているため、アジャスタブルダンパーが装備されている。
CFD(数値流体力学)による空力開発により、空気抵抗係数は従来のCd値0.65から0.42へと大幅に改善された。主にホイールデザインとリアアンダーボディが改良されているという。ホール氏は、この空力開発だけで航続距離を15~30km程度伸ばすことができたと推定している。
全体的なスタイリングはスーパー3によく似ているが、ホイール形状が異なるほか、排気口やフィラーキャップがなく、充電ソケット用のノーズマウントが新設されている。「その気になれば、トースターを繋ぐこともできますよ」とホール氏は言う。
画像 クラシカルなデザインが特徴の英モーガン、電動車導入へ【モーガンXP-1コンセプトとベースのスーパー3を写真で比較】 全33枚