BMWアクティブ・ハイブリッド3モダン
公開 : 2013.09.13 18:57 更新 : 2017.05.29 18:00
3ℓ直6のガソリンエンジンと8段A/Tの間に電気モーターを挟み込んだBMWアクティブハイブリッド3は、現時点におけるF30型3シリーズのフラッグシップといえる。BMWはこれまでも7や5シリーズ、そしてX6等でアクティブハイブリッドモデルをリリースしているが、今回のアクティブハイブリッド3は5シリーズのパワートレーンを3シリーズのボディに移植するかたちで完成している。
アクティブハイブリッド3の車重は1740kgで、これは最もベーシックな320iの1500kgに比べて240kg重いことになる。重量増の主な原因は、エンジンが2気筒多いストレート6であること、そしてハイブリッドの要である電気モーターと、トランクフロア下に搭載されるリチウムイオン電池の存在が挙げられる。プラス240kgというと、いつでも大人3〜4名がシートに座っているようなもので、その走りはワインディングに入ってすぐにわかるほど俊敏さを欠いていた。
フロントの直6エンジンとリヤの電池によってピッチングの収まりが悪く、コーナリングでは鈍重な弱アンダーに終始する。試しにDSCを切ってみると、他のF30型3シリーズでは経験したことがないくらい挙動が落ち着かなくなり、アンダーステアがさらに強まった。試乗車のグレードは“モダン”だったのだが、前後とも225/45R18というタイヤとノーマルのダンパー・スプリングでは、ハイブリッドシステムが生み出す340psというパワーに対して役不足であるように感じられた。
一方、街中で走らせた場合には、バッテリーだけによるのゼロエミッション走行できる距離がプリウスより長く、速度も75km/h(プリウスは55km/h程度)まで許容してくれるので実用的に思えた。アイドリングストップからモーターのみの走行、直6エンジンへという切り替えも実もスムーズで、いかにもBMWらしい高級感が伴っていると思えた。
燃費はJC08モードで16.5km/ℓと記されていたが、今回の試乗は山の上り下りで飛ばしたので6.4km/ℓという数値しか残すことができなかった。渋滞する街中でガソリンモデルと比べた場合の実用燃費は悪くないものと思われる。
結論
プリウスのような速度で走らせている場合には優秀だが、BMWらしく走らせようとすると、有り余るパワーによって色々なネガが出てくる。燃費の良いディーゼルが出たことで、立ち位置がいまひとつ定まらない感アリ。
(文・吉田拓生 写真・田中秀宣)
ビーエムダブリュー・アクティブハイブリッド3モダン
価格 | 719万円 |
0→100km/h加速 | 5.3秒 |
最高速度 | 250km/h |
燃費(JC08モード) | 16.9km/ℓ |
CO2排出量 | 139g/km |
車両重量 | 1740kg |
エンジン形式 | 直6DOHCターボ、2979cc |
エンジン配置 | フロント縦置き |
駆動方式 | 後輪駆動 |
最高出力 | 306+54ps(340ps) |
最大最大トルク | 40.8+21.4kg-m(45.9kg-m) |
馬力荷重比 | 195ps/t |
比出力 | 114ps/ℓ |
圧縮比 | 10.2:1 |
変速機 | 8段A/T |
全長 | 4625mm |
全幅 | 1800mm |
全高 | 1440mm |
ホイールベース | 2810mm |
燃料タンク容量 | 57ℓ |
荷室容量 | 390ℓ |
サスペンション | (前)マクファーソン・ストラット |
(後)5リンク | |
ブレーキ | (前)φ312mmVディスク |
(後)φ300mmVディスク | |
タイヤサイズ | 225/45R18 |