ビッグモーター保険代理店終了 41万件の保険契約と年間32億円の手数料が消滅 今後は?

公開 : 2023.12.10 20:05  更新 : 2023.12.11 18:55

・ビッグモーター 保険代理店終了で年間32億円の手数料が消滅!
・41万件の保険契約はどこに行く? 12月からは保険募集人の「再教育」も開始

任意+自賠責保険で合計41万件の保険契約があったビッグモーター

関東財務局は保険業法に違反する数々の不正行為を行ったビッグモーターに対する行政処分として、保険業法第307条第1項第3号の規定に基づき、令和5年11月30日をもって損害保険代理店としての登録を取り消した。

損保や関係各社に取材をして算出したところ、ビッグモーターでの任意保険契約件数は2022年度末でおよそ15万件とみられる。2022年度の任意保険料の売り上げ合計は約138億円となるが、そのうち、代理店手数料(22%)としてビッグモーターに入る、いわば「純利益」は30億円強である。

ビッグモーター不正報道
ビッグモーター不正報道

これに自賠責保険26万件による手数料(2022年度を参考に、一律1733円)を加えると、1年間で約32億円の手数料が入っていたことになる。それが保険代理店としての登録が取消となったことで手数料収入がなくなる。

今後、合計41万件の保険契約はどうなるのだろうか?

関東財務局による行政処分によってビッグモーター各店は保険代理店としての機能がなくなってしまったわけで、今後は任意保険(自動車保険)や継続車検を受ける際の自賠責保険(強制保険)を契約することができなくなる。

なお、保険の新規契約の手続きができないことに加えて、保険期間途中の契約もビッグモーター店舗の代理店から損保各社に移管されている。保険代理店の取り消しは関東財務局が行う行政処分の中で最も厳しいものだ。一度取り消しを受けると少なくとも3年間は同じ法人で再度指定をうけることは不可能となる。

三井住友から筆者のもとにも届いた!

実は筆者も2023年9月にビッグモーター下関店で三井住友海上火災保険株式会社の自賠責保険契約をしていたのだが、その件で11月中に「お知らせ」が届いていた。

タイトルは「ビッグモーター社との損害保険代理店委託契約解約のご案内」とある。筆者がビッグモーターで契約していた自賠責保険は三井住友が直接扱うと記されている。

ビッグモーター不正報道
ビッグモーター不正報道

損保ジャパン/東京海上/三井住友/あいおいのメガ損保4社に聞いたところ、ビッグモーターでの契約は損保各社の直接扱いになるか、損保の子会社となる代理店やプロ(専業)代理店など、中販店やディーラー内の兼業代理店ではないところに案内されるとのことであった。

ただし各社で対応が少し異なっており、東京海上では「自賠責も任意保険も、同様に原則として子会社の代理店に移管のご案内をしております。お客様が他の代理店をご希望の場合には、ご希望の代理店をご指定いただいた上で個別に対応をしております」とのことであった。

いずれの損保も新車ディーラーや中古車販売店などの兼業代理店に案内することは、調べた限りはないようであるが、客の希望によって例えば知り合いの兼業代理店を希望すればそちらに移管するとのことであった。

ビッグモーターで契約した保険がある場合は各保険会社からの案内が届いているはずなので、各自でしっかりと確認してほしい。各社の公式サイトにも詳しい案内が出ている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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