メルセデス-AMG GT S

公開 : 2014.11.14 23:50  更新 : 2017.05.23 16:37

■どんなクルマ?

ドイツのシュトゥットガルト郊外にあるメルセデス・ベンツのチューニング部門、AMGがオリジナルで制作するパフォーマンスカーの第二弾が、今回テストするメルセデス-AMG GTだ。

第二弾といっても、大きな成功をおさめたSLSの直接的な後継車種にあたるものではなく、標準モデルのGT価格は£97,195(1,768万円)、さらにこれよりパワフルなGT Sは£110,495(2,010万円)となる。このページではGT Sに乗ることにする。

GT Sが英国内に入ってくるのは来年の4月、GTは来年の10月を予定しているとのこと。ただし注文は、英国内ならば今からでも可能だ。

フロアパンやドライブラインを共有する、さらに高価なSLSよりも研ぎ澄まされた身のこなしをするというのだから、興味深いクルマといえる。

重いガルウイング・ドアや典型的なクーペのレイアウトはAMG GTには引き継がれておらず、代わりに前部にヒンジをもつフレームレス・ドアと、350ℓの荷室が備えられた大型のテール・ゲートを持つファストバック・スタイルへと変わった。

SLSに見られた我の強いデザインとレトロな雰囲気を織り交ぜている点はAMG GTも同じ。ボディ構造にアルミニウムを用いた点も共通だ。

全長は4546mm、全幅は1939mm、全高は1289mmというプロポーションは、SLSよりも92mm短く、幅はおなじ、高さは27mm高いことになる。ホイールベースは27mm短い2630mm、トレッド幅はフロントが2mm短い1682mm、リアが1mm短い1652mmとなる。要するに全体的にSLSよりもコンパクトなのだ。

SLSに載せられた自然吸気6.2ℓ V8多点噴射エンジンは、ツイン-ターボ4.0ℓV8直噴エンジンに置き換えられ、このエンジンを搭載する初のAMGモデルということになる。またこのユニットは、ハンドリングに磨きをかけるために、エンジンベイのなるべく後ろ側に置かれている。したがって理想的な重量配分と慣性モーメントの低減を同時に手にしたのだ。

A45 AMGに組み合わせられる2.0ℓ直列4気筒直噴エンジンと親戚関係にあり、タービンを90度のバンクの内側に置くことによりユニットそのものがコンパクトになり、熱効率やスロットル・レスポンスの向上、低エミッション化を実現している。

M178と名付けられたメルセデス内製のこのユニットはドライサンプで、コーナリング時に生じる横方向の大きな力にも耐えうることが可能。マフラーにはフラップが設けられ、センター・コンソール上のボタンから音量の大小を切り替えることができる。

AMG GTの最高出力は462ps/6000rpm、最大トルクは61.1kg-m/1600-5000rpm。加給圧が高められたGT Sは510ps/6250rpm、66.2kg-m/1750-4750rpmとなる。

SLSが571ps/6800rpmと66.2kg-m/4700rpmを発揮していたことと比較すると、ポルシェ911ターボの3.8ℓ水平対向6気筒エンジンは520ps/6000rpmと67.3kg-m/1950rpmを発揮することから、GT Sは明らかに、ポルシェ911ターボを意識していることがわかる。

後輪に優先して伝える動力を送りこむのは、SLSが使用していたゲトラグ製のデュアル-クラッチ・ギアボックスを改良したもの。クラシカルなトランスアクスル・レイアウトを採り、ユニット自体がコンパクトになっているため前後重量比は47:53と理想的な配分に落ち着いた。

おとなしい方から順に、エフィシェンシー、スポーツ、スポーツ・プラス、インディビデュアル、レース(こちらはGT Sのみ)の5つドライブ・モードを用意するためにギアボックスには電気系統の改良が施されている。エフィシェンシーは名前のとおり燃費を優先させるモードで、こちらを選択しているときはアイドリング・ストップ機能や、ブレーキ・エネルギーの回生機能、コースティング機能などが自動で作動する。

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