マクラーレン3台イッキ乗り マクラーレン750S/アルトゥーラ/GT 見えてくる其々のポジション

公開 : 2023.12.11 20:25  更新 : 2023.12.11 23:26

最後はマクラーレン750S

先月ポルトガルで国際試乗会が行われたばかりの「750S」を日本で

その印象をひとことでいえば、GTとアルトゥーラのいいとこ取りをしたというもの。つまり、GTの快適性とアルトゥーラを上回る軽快さを1台で堪能できたのである。

まずはその乗り心地のよさに言及しなければいけない。

マクラーレン3台イッキ乗り 750S/アルトゥーラ/GT
マクラーレン3台イッキ乗り 750S/アルトゥーラ/GT    マクラーレン

前作720Sもスーパースポーツカー界ではベンチマークとされるほど乗り心地は快適だったが、750Sでは路面からのゴツゴツ感が一段と減ったうえに、サスペンションのストロークがさらに滑らかになったように感じられる。

この傾向はハンドリング・モードのコンフォートを選んだときにとりわけ強く、上質なプレミアムセダン並みの快適性を味わえる。

これには、マクラーレン独自のアクティブサスペンションで、GTやアルトゥーラには採用されていないプロアクティブ・シャシー・コントロール(PCC 第3世代となった750SではPCC3と呼ばれる)の効果もあるはずだが、PCC2を搭載していた720Sでは乗り心地がややどっしりとしてフラットな姿勢を崩さなかったのに対し、750Sでは路面の凹凸にあわせて軽くノーズが上下する点が目新しい。

ただし、その程度はごく軽く、ピッチングとして意識される範囲のものではない。また、マクラーレンのPCCをあまり経験したことのないドライバーのなかには、720Sの超フラットな身のこなしをやや不自然と感じる向きがあったので、750Sのほうが多くのドライバーから受け入れられることだろう。

さらにいえば、ハンドリング・モードをコンフォートからスポーツに切り替えれば、低速域で感じられた軽い上下動もすっと消え去るうえ、ハーシュネスへの影響もわずかなので、フラットな姿勢をお好みの方はスポーツを選ぶといい。

エンジンはGT同様、V8の高品質な回転フィールが堪能できるもの。しかも、エグゾーストノートが高音成分中心の緻密なものに生まれ変わったほか、音量も小さめで実に心地いい。それでいながら、必要とあれば0-100km/h加速2.8秒の爆発的なダッシュ力を発揮。280km/hオーバーからのフルブレーキングでもステアリング修正がほぼ要らないことは、先月エストリル・サーキットで行われた国際試乗会で確認済みである。

というわけで、長距離ドライブ好きには「GT」が、スポーツドライビングをこよなく愛する方には「アルトゥーラ」がお勧め。そして、その両方の世界を1台で手に入れるなら「750S」しかないというのが、私なりの結論である。

試乗車のスペック

マクラーレン750S

価格:3930万円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:4569×1930×1196mm
最高速度:332km/h
0-100km/h加速:2.8秒
燃料消費率:12.2L/100km
CO2排出量:276g/km
車両重量:1277kg
パワートレイン:V型8気筒3994cc
使用燃料:ガソリン
最高出力:750ps/7500rpm
最大トルク:81.58kg-m/5500rpm
ギアボックス:7速オートマティック
タイヤサイズ:245/35R19(フロント)305/30R20(リア)

マクラーレン・アルトゥーラ

価格:3070万円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:4539×1913×1193mm
最高速度:330km/h
0-100km/h加速:3.0秒
燃料消費率:4.6L/100km
CO2排出量:104g/km
車両重量:1395kg
パワートレイン:V型6気筒2993cc+モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:680ps/7500rpm
最大トルク:73.42kg-m/2250rpm
ギアボックス:8速オートマティック
タイヤサイズ:235/35ZR19(フロント)295/35ZR20(リア)

マクラーレンGT

マクラーレン3台イッキ乗り 750S/アルトゥーラ/GT
マクラーレン3台イッキ乗り 750S/アルトゥーラ/GT    マクラーレン

価格:2695万円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:4683×2045×1213mm
最高速度:326km/h
0-100km/h加速:3.2秒
燃料消費率:11.9L/100km
CO2排出量:270g/km
車両重量:1466kg
パワートレイン:V型8気筒3994cc
使用燃料:ガソリン
最高出力:620ps/7500rpm
最大トルク:64.24kg-m/5500-6500rpm
ギアボックス:7速オートマティック
タイヤサイズ:225/35ZR20(フロント)295/30ZR21(リア)

記事に関わった人々

  • 執筆

    大谷達也

    Tatsuya Otani

    1961年生まれ。大学で工学を学んだのち、順調に電機メーカーの研究所に勤務するも、明確に説明できない理由により、某月刊自動車雑誌の編集部員へと転身。そこで20年を過ごした後、またもや明確に説明できない理由により退職し、フリーランスとなる。それから早10数年、いまも路頭に迷わずに済んでいるのは、慈悲深い関係者の皆さまの思し召しであると感謝の毎日を過ごしている。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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