「最新の技術と快適性」を堪能する メルセデス・ベンツCクラス 300eへ試乗 内装は期待へ届かず

公開 : 2023.12.25 19:05

ドイツの定石サルーン、Cクラス 全エンジンへ電動化技術 上級サルーンに求められる装備を網羅 不満ない姿勢制御とグリップ 英国編集部が評価

すべてのエンジンへ電動化技術を採用

電動化への過渡期でも、W206型Cクラスメルセデス・ベンツにとって重要な存在だ。もちろん、電動化技術は採用されている。マイルド・ハイブリッド化されたガソリンとディーゼルの内燃エンジンが主役だが、プラグイン・ハイブリッドも用意されている。

このクラスの主流はSUVへ交代し、サルーンが少々古びて見えることは事実。それでも、BMW 3シリーズアウディA4ジャガーXEなどが出揃い、エグゼクティブのハートを奪い合う、熱い戦いが繰り広げられている。

メルセデス・ベンツ C 300e AMGライン(英国仕様)
メルセデス・ベンツ C 300e AMGライン(英国仕様)

プラットフォームは、同社によるモジュラー・リアII アーキテクチャの最新版。2020年に交代した先代Sクラスが採用していたものだが、W205型のCクラスもベースとしていた。次世代は、恐らくバッテリーEVとして設計されるだろう。

フロントにエンジンを縦置きし、後輪を駆動するドライブトレイン・レイアウトは踏襲。四輪駆動も選択できる。エンジンはすべて4気筒へ絞られた。

欧州仕様の場合、170psのC 180と203psのC 200には、1.5Lガソリンターボを搭載。258psのC 300と312psのC 300eには、2.0Lターボが載る。ディーゼルターボも選べ、199psのC 220dか264psのC 300dが用意される。

トランスミッションは9速ATが共通。プラグイン・ハイブリッドのC 300eでは、128psの駆動用モーターが内蔵され、エンジンを回さずに209km/hまでの速度で走行も可能。荷室のフロア下に積まれる駆動用バッテリーの容量は、25.4kWhある。

上級サルーンに求められる装備は網羅

バッテリーが大きいだけに、今回試乗したC 300eは重い。車重は2005kgがうたわれ、BMW 330eより235kgもかさむ。C 300eでは、サスペンションとステアリングが専用設定で、リアにセルフレベリング機能付きのエアスプリングが備わる。

Cクラス全体で、AMGラインを指定すればエアサスを選択できるが、C 300eにローダウン・スポーツサスの設定はない。同じく、プログレッシブ・パワーステアリングも装備されない。

メルセデス・ベンツ C 300e AMGライン(英国仕様)
メルセデス・ベンツ C 300e AMGライン(英国仕様)

アルミホイールは、空気抵抗へ配慮されたデザインの18インチ。タイヤは、転がり抵抗の少ないミシュラン・プライマシー4を履く。

試乗車のC 300eは、珍しくオプションが控えめ。メタリック塗装以外、シンプルな素のCクラスだったといっていい。とはいえ、このクラスの上級サルーンに求められる装備は、初めから一式付いている。

インテリアは、贅沢な雰囲気。シートの調整域は広く、ステアリングが理想的な位置に据えられ、空間も広い。フロントピラーが太めながら、運転席からの視界は広い。人間工学的な位置関係も好ましい。

だが快適性や製造品質の水準は、シュツットガルトのブランドとして期待値には届いていないだろう。スポーツシートは、特に座り心地に優れるわけではない。肩周りと太もものサポート性は、改善できるはず。運転席の足元空間は、若干狭めでもある。

内装のフィッティングは好印象ながら、品質が伴わない部分も。プラスティックには、厚みが足りない領域がある。コスト削減を感じずにはいられない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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