ポルシェ911 ダカールで真冬のキャンプ(1) 道具感ある見た目に好感 山頂を目指す
公開 : 2023.12.23 09:45
お正月休みはキャンプという人も多いハズ 道具感の漂う見た目に最低地上高は161mm 英国編集部が、オプションのルーフテントでスコットランドに1泊
カレラ4 GTSへ大幅に手を加えたダカール
「真冬のキャンプは景色が美しく、挑戦そのものを楽しむ人もいます。しかし、肉体的・精神的に、忍耐が必要だという人もいるでしょう」。グレートブリテン島北部、スコットランドのアウトドアライフを推進する団体、マウンテニアリングも認めている。
筆者は、キャンプの経験が殆どない。キャンプ道具への憧れも殆どなかった。スコットランドの首都、エディンバラ郊外のデカトロン・ストアへお邪魔したのも初めてだ。
登山を専門にするスタッフ、ロクサナさんが、氷点下でも過ごせる寝袋や保温性の高い肌着、充電式ランタン、調理器具セット、小さなガスストーブなどを提案してくれる。寒い中では特に、体温と栄養が重要なようだ。
テントは必要ない。乗ってきたクルマには、ポルシェの純正オプションの1つ、ルーフテントが固定されている。ただのポルシェではない。英国価格17万3000ポンド(約3200万円)もする、911 ダカールだ。
1984年に、ルネ・メッジ氏のドライブでパリ・ダカール・ラリーを優勝した、953がオマージュされている。そのベースになったのは、四輪駆動の911 カレラ3.2だった。
新しい911 ダカールは、992型の911 カレラ4 GTSへ大幅に手が加えられたモデル。富裕層のアウトドアライフへ対応できる、充分な悪路性能が与えられたらしい。
鮮やかなロスマンズカラーでドレスアップされる、ラリーデザイン・パッケージは装備されていない。今回は、日没が迫る砂漠を駆け抜けたり、砂埃が舞うグラベルを走る予定はない。
最低地上高は161mm 道具感の漂う見た目
最高速度は267km/hで、最低地上高は161mm。油圧で最大191mmまで持ち上げられるが、その前でも容姿は精悍だ。落ち着いたグレー・グリーンの塗装に、ブラックのボディガードが映える。筆者は、道具感の漂う見た目が好きだ。
カメラマンとともに、エディンバラから更に北上し、ケアンゴームズ国立公園を目指す。3時間ほど911 ダカールを走らせる。エグゾーストやトランスミッションの特性にも、道具的な馴染みやすさが施されていれば、なお良いのだが。
1番穏やかな設定にしても、アクセルペダルを少し傾けると水平対向6気筒エンジンから熱心な排気音が響く。8速デュアルクラッチATは、低めのギアを保とうとする場面がある。仕事で疲れた週末に別荘へ向かう時には、少し煩わしいのではないだろうか。
カーボンファイバー・シェルのバケットシートは、身体を見事に包んでくれる。しかし、排気音に共鳴する。無料オプションの、スポーツシート・プラスの方が良いかも知れない。ヒーターが備わり、電動で角度を調整できる。
ラリースポーツ・パッケージのロールケージも、ラリーへ出場しない限り不要だろう。そのぶん、シート後方の空間を有効に使える。
タイヤは、サイドウォールが厚いオールテレーンのピレリ・スコーピオン。ぬかるんだ路面に合わせてブロックが大きく、高速域では若干落ち着かない。
ルーフテントは、110km/h以上で風切り音を鳴らす。クルーズコントロールをオンにして、少し控えめな速度で走るのが良い。