ロータリーエンジンの栄枯盛衰 名車・珍車36選 後編 伝統の復活と継承
公開 : 2023.12.17 18:25
AMCペーサー
もし初期の計画が実現していれば、AMC(アメリカン・モーターズ・コーポレーション)は1975年の導入時からペーサーにロータリーエンジンを搭載していただろう(前輪駆動の可能性もある)。問題は、ロータリーエンジンがGMによって開発されたものだったことで、1975年までにGMはそれを製造するどころか、誰にも供給していなかった。
代わりに、ペーサーは信頼できるAMCの直6エンジンを搭載し、後に5.0L V8エンジンを追加して、後輪駆動方式とした。
マツダ・ロードペーサーAP
マツダのロータリー車の中でおそらく最も無名なのが、ロードペーサーAPである。前項のAMCとは無関係ながら、「ペーサー」の名が被っているのは奇妙な偶然だ……。それはさておき、1975年に発売されたロードペーサーは、出力の割に車重が重く、あまり速くなかった。また、車名のAPとは排ガス対策を示す「Anti Pollution(公害防止)」の略だが、これは一般的にロータリーが得意とする分野ではない。
ベースとなっているのはオーストラリアで製造されたホールデン・プレミア(HJ)で、日本に輸送された後、マツダ独自のツインローターユニットが載せられた。これにより、ホールデンの親会社GMによる正規の計画ではないものの、GMが生産した唯一のロータリー車となったのである(生産台数は非常に少なかったが)。
マツダ・コスモ/RX-5
日本ではコスモ、輸出市場ではRX-5として知られるこのモデルは、ロードペーサーAPに遅れること数か月、1975年に登場した。ロードペーサーAPより一回り小さいものの、20世紀に販売されたRXシリーズの中では最大であった。
販売面では一定の成功を収めたものの、サバンナやルーチェほど注目を集めることはなく、マツダのロータリー車で最も人気となる次期モデル(後述)の影に隠れてしまった。
ラーダ・クラシック
ラーダ・クラシックは、1980年代のスヌーカー(ビリヤードの一種)大会のタイトルであると同時に、アフトワズがロシアで製造したフィアット124由来の乗用車シリーズの総称でもある。
数百万台が生産されたうち、ほぼすべてが1.2~1.5Lの4気筒ガソリンエンジンを搭載している。ごく少数の例外として、シングルローター(1978年~)またはツインローター(1983年~)が搭載されたが、そのほとんどは一般消費者ではなく当局に販売された。信頼性には問題があったと言われている。
画像 伝統のロータリーエンジン、ついに現代へ復活【マツダMX-30 eスカイアクティブR-EVを写真でじっくり見る】 全42枚