ロータリーエンジンの栄枯盛衰 名車・珍車36選 後編 伝統の復活と継承
公開 : 2023.12.17 18:25
マツダRX-7(3代目)
20世紀最後のRXは、ユーノス・コスモと共通のツインターボを搭載するが、3ローターではなく2ローターを採用している。それでも、少なくとも日本でのみ販売された後期型では、出力は同じく280psに達した。
このエンジンは、マツダが1970年代に導入したロータリー技術を高度に発展させたものである。しかし、新世紀が近づくにつれ、世界各地の排ガス規制に適合させることは難しくなっていた。次のRXでは、新しいことに挑戦しなければならなかった。
マツダ・ロードスター/MX-5
ロードスターのエンジンをロータリーに換装した例は世界中に数多くあるが、マツダ自身が市販向けのロードスターで行ったことはない。しかし、マツダは1993年、ガソリンではなく水素を燃料とするロータリーエンジンのプロトタイプを製作したのだ。
水素エンジン車の排気ガスのほとんどは水であるため、ロータリーにつきまとう環境性能の問題からは解放される。難しいのは、ロードスターのような小さなクルマに水素を貯蔵することである。さすがにこれは解決できなかったため、水素ロータリーのロードスターは非常に興味深いものの、実験段階にとどまった。
マツダRX-8
RXの最後のモデルであり、21世紀に販売された唯一のモデルであるRX-8は、レネシス(Renesis)と呼ばれる新開発のロータリーエンジンを搭載した4ドア・クーペで、2003年にインターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤーの総合賞を受賞した。ハンドリングは抜群に良かったが、マツダの懸命の努力も及ばず、排ガスを抑えることができず、20万台弱を生産した後に2012年6月に生産終了となった。
ガソリンでも水素でも走行可能なバイフューエル仕様のRX-8も数年間販売されたが、企業向けのリース販売のみだった。
マツダ・プレマシー
輸出市場ではマツダ5やフォードiマックスとしても知られる2代目プレマシーは、通常ガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンを搭載するミニバンである。ごく少数がRX-8と同じガソリン/水素のバイフューエル・ロータリーを搭載したが、今回はハイブリッド・パワートレインの一部として電気モーターに接続されている。
RX-8と同様、プレマシーもリースでのみ販売され、一般消費者に直接販売されることはなかった。
アウディA1
アウディ最小のハッチバック、A1をベースとするA1 eトロンは、バッテリーの充電量が一定レベルを下回ると小さなシングルローターがレンジエクステンダー(発電機)として作動するEVである。2010年、本誌はこのプロトタイプを「非常に卓越したもの」と評しており、短時間の試乗でロータリーが4回始動したものの、記者にその始動音は聞こえなかった。
A1 eトロンは結果的にプロトタイプ止まりだったが、アウディがこのようなプロジェクトを試みたのは、歴史的に見ても妥当なことだ。現在のアウディという企業は、ロータリー車を初めて生産したメーカー、NSUの一部を受け継いでいるのだ。
画像 伝統のロータリーエンジン、ついに現代へ復活【マツダMX-30 eスカイアクティブR-EVを写真でじっくり見る】 全42枚