「故障車続出」のクリスマス 冬の英国カーレスキュー事情 念のため積んでおきたい装備
公開 : 2023.12.24 19:05
スタッフ総出で対応に当たるクリスマス
RAC社の訓練ガレージの壁面には、レスキュー車に搭載されている膨大な道具を把握できるよう、透視図が描かれていた。各サイズのスパナからバッテリーまで、救助に必要な工具類が揃っている。
レスキュー車の後方には、以前までは牽引車両の前輪側を載せる、レッカー装置が搭載されていることが通例だった。しかし最近は四輪駆動も多く、前後のタイヤを載せられる仕様が主流だという。
特別なワッシャーに、4本と5本のスタッドボルトへ対応した、ユニバーサル・スペアタイヤも数本載っている。全体の80%の車両へ対応するらしい。
レスキュー車のディーゼルエンジンに繋がれた、5kWの充電器もある。バッテリーEVの駆動用バッテリーが空になっても、現場で充電が可能だ。
それら以外にも、多様なロックナットに対応したソケット、エグゾーストパイプのジョイント、簡易修理のパーツセットなど、様々なアイテムを搭載。立ち往生したクルマを運搬できないことは、殆どないそうだ。
同社では約1600台のレスキュー車を擁し、その殆どがフォード・トランジットといすゞDマックス。12月25日のクリスマス当日は一時的に出動回数が減るというが、その前後は急激に増えるため、スタッフ総出で対応に当たるという。なんとも頼もしい。
普段より多くのストレスを感じる時期
訓練ガレージの壁面へ書かれた作業項目のなかで、目を引いたものがあった。「冷静さを保つ」という内容だ。
「特にクリスマスは、普段よりストレスを感じている人が少なくありません。クルマがこんな時に故障すると、その傾向は更に高まります」。RAC社の技術責任者、ジェームス・ギブソン氏が説明する。
「私たちは、クルマの問題を解決するだけではありません。ドライバーや乗員を落ち着かせる訓練も重ねています」
「目的地に到着することが、依頼者にとって最も大切なこと。その場での修理が難しく、距離が遠くない場合は、レスキュー車で送迎したりレンタカーを手配します。本当のクリスマスが始まるようにね」
年始の時期も故障が多い
英国のAAによると、クリスマス休暇だけでなく、仕事が始まる年始も故障が多いとか。10日間前後も乗られなかったクルマが、活動を始めるタイミングだからだ。
原因で多いのが、バッテリー上がり。寒い地域では、充分な性能を持たないラジエーター・クーラントが凍ったり、エンジンオイルの粘度が硬すぎ始動しにくくなる場合もあるらしい。
凍結したフロントガラスへ張り付いたワイパーは、無理に動かすべきではないと、AAはアドバイスする。ドア周辺のゴムモールやキーホールも含めて、熱湯ではなくぬるま湯で優しく温め、溶かすのが良いそうだ。
気温が低い日は、ウオッシャー液の不凍温度にも気をつけたい。-20度まで対応したものが安心だという。
真冬のクルマに積んでおきたい装備
ケガなどの応急処置キット
スマートフォンのポータブル電源
予備のお金
パンク修理キット
ジャンプケーブル(ブースターケーブル)
三角表示板(停止表示板)
予備の着替えと毛布、ティッシュペーパー
非常食と飲料水
スノーブラシとスコップ