セブンの「本質を変えず」にアップデート R500の加速は狂気の沙汰 ケータハム 7台を乗り比べ(3)

公開 : 2024.01.07 17:45

ケータハムがセブンを生産し始めてから50年 チャップマンの思想を体現したパッケージング 英国編集部が7台の比較で魅力を再確認

明らかに公道向きなスーパースポーツ

次に乗るのは、ケータハム・ロードスポーツ・リミテッド・エディション 1.4スーパースポーツ。2018年からアンディ・オハラ氏が所有する1996年式で、ボンネット内に納まるのはフォード・エンジンではなく、ローバーのKシリーズ 1.4L 4気筒だ。

ベーシックなロードスポーツでは、最高出力は106psながら、スーパースポーツ仕様には専用カムと吸気マニフォールド、ECUなどが組まれ、129psまで高められている。レッドラインも、7600rpmまでに引き上げられる。

ケータハム・ロードスポーツ・リミテッド・エディション 1.4スーパースポーツ(1996年/英国仕様)
ケータハム・ロードスポーツ・リミテッド・エディション 1.4スーパースポーツ(1996年/英国仕様)

またリミテッド・エディションとして、14インチのミニライト・アルミホイールでドレスアップ。モモ社製のステアリングホイールと、シフトライトも装備される。

スーパースポーツを名乗っていても、明らかにチューニングは公道向き。オーナーのアンディも、サーキットは殆ど走ったことがないそうだ。

ステアリングの反応は穏やかで、サスペンションはマイルド。ハイパワーなセブンより軽快感は高いものの、544kgの車重は特に軽量なわけではない。ボディロールは大きめながら、控えめな速度でもシャシーの動きを体感できる。日常的に運転を楽しめる。

グリップ力は高くなく、コーナーではアンダーステアへ流れがち。アクセルペダルを戻して、それを抑える。Kシリーズ・ユニットは高回転型。活発に走らせるため、沢山回ってもらうことになる。

本質を変えずにアップデートできる余地

ケータハムCSR 200が登場したのは2005年。それまでの32年の歴史で、過去最大といえる技術的進化が与えられていた。110mm広く150mm長いSVシャシーが採用され、SV-Rと呼ばれたレース仕様の技術が落とし込まれている。

サスペンションのダンパーは、インボードレイアウトへ改められプッシュロッドで伸縮。バネ下重量を削っている。空気抵抗も小さくでき、高速域では50%もリフトを抑えられたという。

ケータハムCSR 200(2005〜2011年/英国仕様)
ケータハムCSR 200(2005〜2011年/英国仕様)

フロントのトレッドは50mm拡大。安定性とグリップ力が引き上げられた。リジッドアクスルだったリアサスペンションも、ダブルウィッシュボーンとコイルスプリングの独立懸架式に。チューブラーシャシーは、ねじり剛性が25%も向上した。

エンジンは、2.3Lのフォード・デュラテック・ユニット。名門コスワースによるチューニングが施され、200psの最高出力を叶えている。これでも充分だが、更にパワフルなCSR 260も用意された。

イエローのCSR 200を、ベン・フェリー氏は2年ほど所有している。運転させてもらうと、本質を変えずにアップデートする余地が多く残されていたことを実感する。

キャビンは広く、身長が170cmの筆者の場合、シートを一番前にスライドしてペダルの位置は丁度。サーキットへ出てみると、それ以前のセブンと比べて遥かに洗練され、7台では最も運転しやすい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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