ウニモグに水素エンジン搭載 メルセデス・ベンツ、商用車でCO2排出削減へ
公開 : 2023.12.21 06:25
・メルセデスの特殊トラック、ウニモグで水素燃焼エンジンの試作車が登場。
・道路脇の除草作業など、特殊車両や商用車でのCO2削減を目指す。
・次の開発ステップは水素貯蔵量の増加。航続距離延長へ。
水素で走るウニモグ 試験導入
ドイツの自動車メーカーであるメルセデス・ベンツは12月18日、商用車のウニモグに水素燃焼エンジンを搭載したプロトタイプを公開した。
プロトタイプのベースとなったのはウニモグU430で、通常は最高出力300psと最大トルク122kg-mを発生する7.7L直6ディーゼルエンジンを搭載している。燃料を水素とすることで、最高出力は290ps、最大トルクは102kg-mへとわずかに低下した。しかし、エンジン音はディーゼルよりも「著しく静か」であるという。
このプロトタイプでは、圧力700bar(1万152psi)の4つのタンクに約14kgの水素を貯蔵するが、効率性に関する数値は公表されていない。メルセデス・ベンツが現在目指しているのは、高速道路脇の除草作業を1日中、無補給でこなせるように、搭載する水素の量を増やすことだ。
同社は水素エンジンについて、バッテリーEVや水素燃料電池と並んで、「特別な用途」における脱炭素化の「補完的」ソリューションであると説明している。水素燃焼の利点は、再生可能な電力(炭素を排出しない)で水を電気分解して水素を製造すれば、化石燃料よりも環境への影響を大幅に低減できることだ。
水素を空気(ほとんどが窒素と酸素で構成される)と一緒に燃焼させても、CO2は排出されない。しかし、喘息などの呼吸器系疾患の原因となるNOx(窒素酸化物)は発生する。
こうした性質から、水素エンジンは主に商用車にとって、より現実的なソリューションとして注目されている。
メルセデス・ベンツのスペシャルトラックス部門のパワートレイン開発責任者であるギュンター・ピッツ氏は、次のように述べている。
「水素燃焼駆動のコンセプトは、特殊車両におけるエネルギー集約型アプリケーションの青写真となり得ます」
「水素燃焼は、建設現場や都市部、農業分野において、非常に低い排出ガスでの走行・作業が可能です」
「このような車両を成熟させるためには、確実な資金調達が必要です」
メルセデス・ベンツだけでなく、複数の大手メーカーが水素エンジンに取り組んでいる。トヨタやステランティスは積極的に開発しており、ルノー・グループもコンセプトカーを通じて関心を示している。