ドライバーを惹き込む「特有のDNA」 アルピナD3 S ツーリング 長期テスト(3) 世界最高の1台

公開 : 2023.12.31 09:45

ドライバーを惹き込む、特有のDNAを宿す

とはいえ、アルピナが仕上げたディーゼルエンジンは、この上なく素晴らしい。冷静に現実を考えれば、ガソリンターボより優れるとさえいえる。見た目は、過度に目立つこともない。まさに万能なクルマだ。

アルピナ独自のコンフォートプラス・モードを選ぶと、イタリアの高速道路をダンパーが処理し、流れるように走れる。丘陵部では、正確なステアリングと落ち着いたシャシーが光る。リアに有能なLSDが装備され、本物のスーパーワゴンならではの喜びに浸れた。

アルピナD3 S ツーリング(英国仕様)
アルピナD3 S ツーリング(英国仕様)

馬鹿げているほど速くはない。意欲的にカーブを巡っていける。ドライバーを惹き込む、特有のDNAを宿している。BMW M5 CSにも通じる特徴といえるが。

ロンドンからトリノへの往復で得られた燃費は、平均で14.9km/Lと褒められる。コンプライアンスを考え、平均速度は記さないでおこう。3桁の最初の数字が、1ではない時間も短くなかった。

バッティスタの開発技術者で、D3 S ツーリングへ強く惹かれていた1人が、ロリス・ビコッキ氏だ。非常に有能なスーパーカー・エンジニアで、パオロ・スタンツァーニ氏やジャンパオロ・ダラーラ氏、オラチオ・パガーニ氏を友人にするなど、交友関係も広い。

彼の目は鋭い。特別なクルマだと、即座に理解できるようだ。

テストデータ

気に入っているトコロ

ダッシュボード:フルメリノレザー・パッケージには、ダッシュボードのアップグレードも含まれる。車内の雰囲気を、驚くほど豪華にしている。

気に入らないトコロ

ブラックのホイール:サイズの大きい、ブラックのホイールは好みではない。筆者ならサイズがひとつ小さい、シルバーのダイナミック・ホイールを選ぶだろう。乗り心地でもプラスなはず。

価格

アルピナD3 S ツーリングとイエローのピニンファリーナ・バッティスタ
アルピナD3 S ツーリングとイエローのピニンファリーナ・バッティスタ

モデル名:アルピナD3 S ツーリング(英国仕様)
新車価格:6万6000ポンド(約1221万円)
テスト車の価格:8万8265ポンド(約1632万円)

テストの記録

燃費:15.0km/L
故障:なし
出費:なし

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト アルピナD3 S ツーリングの前後関係

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