ヤリス・クロスの「高級仕立て」は機能するか? レクサスLBXへ英国試乗 想像以上に運転は楽しい

公開 : 2024.01.03 19:05

レクサスのシェア拡大を狙った小型クロスオーバーのLBX 車内空間は限定的 郊外の道では想像以上に運転が楽しい 英国編集部が評価

欧州市場でのブレークスルーに繋がるか

レクサス最小のクロスオーバー、新しいLBXには大きな期待がかかっている。3文字のモデル名にも、その事実は表れている。レクサス・ブレークスルー・クロスオーバーの略だという。

ブレークスルーの意味するところは、欧州市場でのシェア拡大。レクサスは、英国市場で結ばれる新規契約の3割を、このLBXが占めると予想する。同社のベストセラーとして、年間2万台を売りたいと考えている。

レクサスLBX FWD プレミアム(欧州仕様)
レクサスLBX FWD プレミアム(欧州仕様)

LBXのターゲット層は、都市部で暮らすエンジニアなどの若い世代。デニムやスウェット姿で気軽に運転できる、プレミアムモデルという設定のようだ。といっても、電動クロスオーバーのZRのドライバーが、テーラード・スーツを着ているとは限らないが。

2023年に発表されたニューモデルとして注目すべき事実が、バッテリーEVが想定されていないこと。欧州市場の傾向へ逆行するように、ハイブリッド1本でプレゼンスの拡大が目指されている。

直接的なライバルといえるのは、2024年に生産終了を迎えるアウディQ2と、さほど数が出ていないDS 3ミニ・カントリーマン(クロスオーバー)とも競合するが、ボディサイズはLBXの方が小さい。

好意的な表現ではないかもしれないが、LBXは、トヨタヤリス・クロスをレクサスへ見合うよう豪華に仕立てたモデルといえる。新鮮なスタイリングからは、想像し難いかもしれない。

どちらも、TNGA-Bプラットフォームが基礎骨格。1.5L 3気筒ガソリンエンジンによる、ハイブリッド・システムも共有する。

プラットフォームは同一でも多くの違い

英国での価格は、エントリーグレードで2万9995ポンド(約555万円)から。トップグレードでは、3万9545(約732万円)に達する。ちなみに、ヤリス・クロスは2万4855ポンド(約460万円)から購入できる。

LBXの開発を主導した技術者は、プラットフォームが同一だとしても、開発はまったく別に進められたと主張する。本物のレクサスにするべく、ヤリス・クロスとは多くの違いが存在するそうだ。

レクサスLBX FWD プレミアム(欧州仕様)
レクサスLBX FWD プレミアム(欧州仕様)

ホイールベースは20mm長く、LBXでは2580mmに設定された。全長は10mm長く、4190mm。全高は50mm低く1545mmで、全幅は60mm広く1825mmある。確かに、プロポーションはだいぶ異なる。

全幅が広いことで左右のタイヤの間隔、トレッドも広い。乗り心地や操縦性を向上する鍵になったという。

また、ハイブリッド・パワートレインも差別化されている。LBXでは優れたレスポンスを求めて、駆動用バッテリーにニッケル水素を採用。システム総合での最高出力は134psと、ヤリス・クロスの130psより強力に仕立てられている。

試乗車のLBXは、英国での主力グレードに予想されるプレミアム。インテリアは、高級感がさほど高くないものの、雰囲気はしっかりレクサスしている。

ダッシュボードは落ち着いた造形で、手で触れるような場所には、合成皮革など触感を意識した素材が用いられる。プライバシーガラスやスマートフォンのワイヤレス充電パッドなど、装備にも不満はない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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