ヤリス・クロスの「高級仕立て」は機能するか? レクサスLBXへ英国試乗 想像以上に運転は楽しい

公開 : 2024.01.03 19:05

eラッチ・ドアを採用 車内空間は限定的

センター・タッチモニターのサイズは9.8インチ。小柄なクロスオーバーには充分なサイズといえ、インフォテインメント・システムの操作性も、従来から大きく改善した。

タッチモニターの下部やドアパネルには、実際に押せるハードボタンも用意されている。エアコンの温度も、ドアミラーの角度も、慣れ親しんだ方法で調整できる。フォグライトは、ウインカーレバーのスイッチで点灯できる。当たり前のことがうれしい。

レクサスLBX FWD プレミアム(欧州仕様)
レクサスLBX FWD プレミアム(欧州仕様)

同時に、モダンな電子システムも採用する。eラッチと呼ばれるドアヒンジ・システムは、何かにぶつかりそうだと判断すると、開く角度を制御。スマートフォンを、デジタルキーとして登録することもできる。

小さなボディサイズがゆえ、車内の収納は限定的。ドアポケットやセンターコンソールの小物入れ、グローブボックスなど一通り用意されているが、容量は大きくない。

リアシート側の空間は、前後長が狭め。高身長の大人がフロントシートへ座ると、その後ろには大人に充分な空間が残らないだろう。

荷室の容量は402Lで、このクラスとしては大きめ。フロアはフラットで使いやすそうだが、高さを調整できたり、仕切りが用意されていたりということはない。

期待を寄せる理由は理解できる

実際の走りで配慮されたポイントの1つが、ノイズ。運転してみると、低速域では驚くほど静かだ。加速は、ヤリス・クロスより活発。駆動用モーターが積極的に働き、加減速の激しい都市部でも、車内は平穏に包まれている。

しかし、136psを引き出そうとすると、CVTがエンジンを高回転域まで引っ張り、唸りが聞こえてくる。レスポンスも、そこまで鋭いわけではない。高速道路での巡航時は静かに戻るとはいえ、プレミアムな価格に見合うマナーとは呼びにくい。

レクサスLBX FWD プレミアム(欧州仕様)
レクサスLBX FWD プレミアム(欧州仕様)

燃費は優秀。今回は都市部から高速道路まで、複合的に約160kmを走らせたが、平均19.5km/Lを記録した。

操縦性も強み。ホイールベースが短く、車重は1300kg前後と軽量で、軽快に操れる。回頭性は鋭く、入力に対する反応は正確。高速で旋回を試みても、姿勢は落ち着いている。小柄なだけに、小回りも効く。

乗り心地は基本的にしなやか。稀に細かな不整で衝撃を伝える場面はあったものの、大きめのバンプを越えても乱れることはなかった。

カーブが連続する郊外の道では、想像以上に運転が楽しい。コンパクトなモデルの魅力を、再確認させてくれた。

LBXのパッケージングは悪くない。レクサスが期待を寄せる理由も理解できる。燃費が良く、運転を楽しめる小さなクロスオーバーは、多くの人が欲する内容といえる。ヤリス・クロスより乗り心地に優れ、内装は上質で、見た目のインパクトも強い。

とはいえ、約6000ポンド(約111万円)の価格差に相当するほどかと聞かれると、意見はわかれそうだ。レクサスが期待を寄せるブレークスルーには、あと少し達していないかもしれない。

レクサスLBX FWD プレミアム(欧州仕様)のスペック

英国価格:3万2495ポンド(約602万円)
全長:4190mm
全幅:1825mm
全高:1545mm
最高速度:170km/h
0-100km/h加速:9.2秒
燃費:21.3km/L
CO2排出量:107g/km
車両重量:1280-1350kg
パワートレイン:直列3気筒1490cc 自然吸気+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:−kWh
最高出力:136ps(システム総合)
最大トルク:18.7kg-m(システム総合)
ギアボックス:e-CVT(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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