高性能は「ひけらかさない」 ジャガーXFR 当時のクラス最強サルーン 英国版中古車ガイド

公開 : 2024.01.05 19:05

新車時代のAUTOCARの評価は

辛口のAUTOCARでも、ジャガーXFRは満点評価を与えるのに相応しい。動的特性の幅が、非常に広いことが最大の特長。並外れた仕上がりのサルーンだといえる。

高級車らしく、洗練された長距離クルージングの質感は特筆に値する。それでいて、BMW M5を簡単に打ち負すパフォーマンスも披露する。(2009年5月27日)

ジャガーXFR(2010〜2015年/英国仕様)
ジャガーXFR(2010〜2015年/英国仕様)

オーナーの意見を聞いてみる

ジョーダン・マンスフィールド氏

「英国車がお好きなら、XFRとの暮らしを想像したことが1度はあるのでは。魅力的なスタイリングとパワーだけでなく、不具合も、当時のJRLのモデルが備えるすべての特長が詰まっています」

ジャガーXFR(2010〜2015年/英国仕様)
ジャガーXFR(2010〜2015年/英国仕様)

「標準のXFと比べて、見た目の違いは限定的。しかし、エンジンとエグゾーストノートは、落ち着いた印象を塗り替えるほどエネルギッシュ。控えめにアップグレードを施すと、その喜びは一層高まりますよ」

「動力性能と普段使いの実用性が、見事に両立できるサルーンです。当時のJLRとして、メンテナンスに割ける資金を用意できれば、ですが」

購入時に気をつけたいポイント

燃料漏れ

特に2010年式から2011年式では、燃料タンクのアウトレットパイプからガソリン漏れする場合がある。接続部分が錆びると、症状は悪化する。一部の年式にはリコールが出されているので、予め確認したい。

エンジン

タイミングチェーン式だが、摩耗しやすい材料が用いられ、コマ飛びする場合がある。始動時にガラガラとノイズが聞こえたり、パフォーマンスに関する警告がメーターパネルに表示される場合は要注意。

ジャガーXFR(2010〜2015年/英国仕様)
ジャガーXFR(2010〜2015年/英国仕様)

ウォーターポンプは3万kmほどで交換が必要。クーラントが内部のベアリングを腐食させることが原因。サビの粉が循環し、他の冷却系統にもダメージを与えてしまう。ポンプ周辺からのクーラント漏れや、減りが早い場合は、交換を検討したい。

エンジンと補機類を結ぶ、ホースやパイプに用いられるプラスティックが割れやすい。特に冷却系統の部品は弱く、1か所の破損でも、一式交換した方が長い目で見た場合は作業コストを抑えられる。

サスペンション

リア・サスペンションのコントロールアームが駄目になりやすい。ステアリングが安定しなかったり、不自然な振動が生じたり、リアからカタカタと異音が出る場合は、それが原因かもしれない。

ホイール

見た目の良い20インチ・アルミホイールだが、タイヤのサイドウォールは薄く、ガリキズを付けやすい。傷が多く、補修されていない場合は、それだけ丁寧に乗られていなかった証拠といえる。サスペンションへのダメージにも繋がる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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