まるで立体パズル 日産の緊急拠点コンセプトカー提案

公開 : 2023.12.25 10:00  更新 : 2024.01.12 09:31

・日産が「東京オートサロン 2023」に出品するコンセプトカーの1台
・これ1台で災害時の拠点機能を担う「動く町役場」をめざした
・コンセプトカーのレベルを超えた作り込みは必見

災害現場での拠点機能をめざして

日産が「東京オートサロン 2024」に出品する、注目の4台のコンセプトカーが先行公開された。ここでは、キャラバンをベースに、緊急・災害時の防災拠点として提案される「Disaster Support Mobile-Hub」を紹介する。

スタッフが「Disaster Support Mobile-Hub」を取り囲むと、見慣れた側面のスライドドアと後部のハッチドアがなんと手前に向かって引き出され、みるみる車内空間が拡大。

キャラバンをベースにした「Disaster Support Mobile-Hub」各部を展開させた状態。
キャラバンをベースにした「Disaster Support Mobile-Hub」各部を展開させた状態。    神村聖

そこには、災害現場でのプライバシーを担保する防音個室、AEDを備え救護から授乳・オムツ交換まで対応する多機能ルーム、衛星インターネットサービスのSTARLINKまで。拡大された空間には、あらゆる装備がまるで立体パズルのように詰め込まれている。

限られたボディにぎっしりの電化設備

実は、このクルマのベースは、キャラバンでは最もコンパクトな標準幅/ロングボディ。これだけのカスタムを小さいボディでも実現できると示すため、あえて選んだとのこと。

「Disaster Support Mobile-Hub」の鍵は、ルーフに敷き詰められたソーラーパネルと、2023年に発売された「ポータブルバッテリー from LEAF」。日産リーフのバッテリーを再生してつくられた、いわゆるポータブル電源で、これが17台搭載される。

ルーフに敷き詰められたソーラーパネル。
ルーフに敷き詰められたソーラーパネル。    神村聖

これらの電化設備が、災害現場での援助活動を強力にサポートし、動く町役場のような機能を持った車両を目指したという。

このクルマの電化設備は、驚くことに、装備されたバッテリーで駆動できるよう計算の上で搭載されているという。それに加え、製作の過程では防災アドバイザーの監修をも仰いだというから、日産の本気度がうかがえる。

キャラバンのコンセプトカーシリーズ これからにも期待

キャラバンがベースのコンセプトカーは、シリーズとして継続的に企画されており、今回の「Disaster Support Mobile-Hub」で通算4台目。今後のさらなる展開も計画されているそう。

東京オートサロン 2024は2024年1月12日(金)〜1月14日(日)の3日間にわたり開催される。日産ブースでは、4台のコンセプトカー以外にも、フォーミュラEマシンやオーテックニスモのモデル、合計10台の展示を予定しているそうだ。

車内には電化設備が満載され、すぐにでも災害現場で活動できそうだ。
車内には電化設備が満載され、すぐにでも災害現場で活動できそうだ。    神村聖

記事に関わった人々

  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。
  • 執筆

    香野早汰

    Hayata Kono

    1997年東京生まれ。母が仕事の往復で運転するクルマの助手席で幼少期のほとんどを過ごす。クルマ選びの決め手は速さや音よりも造形と乗り心地。それゆえ同世代の理解者に恵まれないのが悩み。2023年、クルマにまつわる仕事を探すも見つからず。思いもしない偶然が重なりAUTOCAR編集部に出会う。翌日に笹本編集長の面接。「明日から来なさい」「え!」。若さと積極性を武器に、日々勉強中。

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