RWBポルシェとコラボも ロナルド・ヴェンチューラ個展が銀座で開催 ハイパー・カーへの偏愛

公開 : 2023.12.24 11:45

ハイパー・カーへの偏愛が駆けるロナルド・ヴェンチューラ個展「グレー・アベニュー(Grey Avenue)」が来年1月14日から銀座で開催されます。RWBポルシェとのコラボで限定展示も予定。詳細をどうぞ。

ロナルド・ヴェンチューラ特別仕様 ラッピングカー

ホワイトストーンギャラリー銀座新館、ロナルド・ヴェンチューラによる個展「Grey Avenue(グレー・アベニュー)」を開催

今展に先立つ大規模な個展は、2021年軽井沢ニューアートミュージアムにて開催された「内省」であった。

作家にとって、自らの創造物を再考・再構築することは、それらを現在進行形のプロセスの一部とみなすことであり、本質的なことであるという。すべてが視覚の旅の途上であり、絶え間ない投企である以上「過去作」は存在しない。創作とは絶えず編み直され、変化し続ける自己や新たな環境に適応して「脱皮」する生物のようなものであるという。

ロナルド・ヴェンチューラによる個展「Grey Avenue(グレー・アベニュー)」
ロナルド・ヴェンチューラによる個展「Grey Avenue(グレー・アベニュー)」

「ズーマニティーズ」や「ヒューマニム」といったシリーズで作家が展開したこと、幾何学的な繭に絡めとられたキメラ/一連のボート/猛禽類/祝祭日/病院のカルテやクリップボード/制限や疫病を意味する交通標識や検疫のシンボルカラーなどは、折に触れて新しく風変りな視点のもとに再訪される。

ホワイトストーンにおける今展では、主題としてのみならず、アートの表現媒体としての「ハイパー・カー」への偏愛をヴェンチューラは継続して表明した。第二の皮膚をもった機械としてそれらを想像しなおし、そのフォーム/精緻さ/ポルシェに代表される確固としたブランド力、などを最大限に活かしながら、目前にせまった更に息苦しい時代における「可動性」/「自由」/「超・想像力」のメタファーとして可動させるという。

車を従来の環境から運び出し屋内に設置することは、ヴェンチューラにとって屋外と屋内の境界をぼかすワイルドな方策のひとつである。あらゆる障害物は忌まわしきものなのだ。

作家はカーボンファイバー(炭素繊維)「車の製造に使われるマテリアル」をカンヴァスのように用い、アートというものは何も応接間に飾られたり壁のうえで制限されるだけのものではなく、自由で束縛も制限もないことを約束する何かであるはずだ、と強調する。スピードを与え動性を彫りこむことで、ロナルド・ヴェンチューラは自らのアートを不可思議で新しい地点へといざなうとしている。

作家プロフィールと展覧会情報

ロナルド・ヴェンチューラ(Ronald Ventura)

1973年フィリピンのマニラ生まれ。現在も同市に住んで制作を続けるロナルド・ヴェンチューラは、同世代のなかでは東南アジア全域で最も高い評価を受けているアーティストのひとり。

ヴェンチューラの絵画と彫刻は、その比喩的なモチーフの連鎖とともに、東南アジアの現代美術シーンで異彩を放つ。彼の作品は、そのイメージとスタイルの複雑なレイヤー(層)を特徴としており、ハイパーリアリズムから漫画、落書きまでモチーフは多岐にわたる。

ロナルド・ヴェンチューラによる個展「Grey Avenue(グレー・アベニュー)」
ロナルド・ヴェンチューラによる個展「Grey Avenue(グレー・アベニュー)」

作品におけるレイヤー化のプロセスには、フィリピンという国家の多様なアイデンティティが隠喩となっている。土着の文化とともに、何世紀にもわたり様々な国(スペイン/日本/アメリカ合衆国)占領されてきた根深い影響は複雑な、時として不安定なアイデンティティを生み出した。

ヴェンチューラはこの歴史的/心理的な現象を、東洋と西洋/社会的身分の高低・老いと若さ、といったイメージを喚起しながら掘り下げてゆく。これらは、作品中での古典絵画の巨匠や日米の漫画などへの仄めかしにも見て取れる。

ヴェンチューラは、我々が知らず知らずのうちに身につけている「文化のシニフィエ(意味するもの)」という「第二の皮膚」を注視、皮膚を「表情豊かな表層」と見做す。そこはイメージの連鎖のもとにタトゥーが彫られていたり、内面に抱える幻想や葛藤が露わになる場なのである。

展覧会情報

ロナルド・ヴェンチューラ個展「グレー・アベニュー(Grey Avenue)」
会期:2024年1月14日~2月17日
会場:ホワイトストーンギャラリー銀座新館
営業時間:11:00~19:00
休館日:日曜/月曜
所在地:東京都中央区銀座6-4-16

中井啓氏(RWB)とベンチューラのコラボレーション

中井啓氏(RWB)によるクラッシック・ポルシェ・カー・チューニング 「ロナルド・ヴェンチューラ・バージョン」を1日だけのコラボレーションとして特別公開。

オープニング・レセプション:2024年1月14日 16:00~(開場:15:00)
作家の来日を記念して、オープニングレセプションを開催。ロナルド・ヴェンチューラ作品にインスパイアされたDJセット(DJ:モリー・バーンズ Morry Burns)とともにアートと車の融合を企画する。

中井啓/RWB

RWB/ラウ・ヴェルト・べグリフは千葉を拠点とする著名なポルシェ・チューナー。日本とヨーロッパのチューニング技術の妙を融合させ、独創的でオンリーワンのクラシック・ポルシェ・スタイルを実現、レーシング界のみならず世界中のカー・コレクターを魅了してきた。

代表を務める中井啓(なかい あきら)は「ポルシェ・アーティスト」として世界中から熱い視線を浴び続ける「生きたレジェンド」自らの感性のみを依代に制作に取り掛かり、高い美意識が細部まで張り巡らされたそのスタイルは、車体という域を超えた孤高の芸術とされている。

モリー・バーンズ(Morry Burns)DJ

パーカッショニスト、フリー・ミュージックのインプロヴァイザーとしての顔も持つプレイは、ジャズ・ラウンジやバーでの豊富な音楽プロデュース経験を反映しながら、その卓越した聴覚センスで空間を自在に変幻させる。DJのほかオーガナイザー、フォトグラファーとしても活動。五感や記憶を触発する音造りには定評がある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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