1970年代の「特別」へ浸れる アストン マーティンV8 英国究極の1台 UK中古車ガイド
公開 : 2024.01.06 19:05
新車時代のAUTOCARの評価は
このクルマは、大陸を横断するようなグランドツアラーとして、高く評価できる。圧倒的なスピードで、長距離を悠々と飲み込んでくれる。市街地ではボディがかさばり、低速域では大きめのノイズが気になるだろう。
リソースが限定される英国の小さなブランドの作品として、称賛すべき仕上がりにある。燃料インジェクションからキャブレターへの変更も、価値ある改良といえそうだ。(1973年9月6日)
オーナーの意見を聞いてみる
ジョン・フォアマン氏
「1974年式のV8を、アストン マーティンのディーラーで購入した過去があります。灰皿とセンターコンソールにRMとイニシャルが入っていることへ気づき、調べたら最初のオーナーは新聞事業で大成功した、ロバート・マクスウェルさんだったんですよ」
「走行距離を不必要に伸ばさないよう、気を使って乗っていました。しかし走りは完璧。アストン マーティン・ディーラーへ整備を頼んでいましたが、コストはだいぶ掛かりましたね」
「V8エンジンのサウンドには、中毒性があります。過去には、ロンドンへの通勤にも時々乗っていました。退職後は、維持費を考えてやむなく手放しましたが、今でも残しておけばよかったと後悔しています」
購入時に気をつけたいポイント
ボディ
ボディの状態をチェックするには、サイドシルカバーを外して観察するのが良い。多くのV8は、この付近にサビの修復を受けているはず。サイドシルやフロアパネル、AピラーとBピラーの付け根、バルクヘッド、荷室フロア、ドアのシェルなどが錆びやすい。
アルミニウム製のパネルは、スチールと触れる部分で腐食しやすい。パテが厚盛りされていないかも確かめる。
エンジン
パワフルなV8エンジンは、定期的なメンテナンスで長く使える。高額を要するリビルドまでに、24万km程度は耐えるようだ。多くの故障は、メンテナンス不良や放置が原因。過去の整備記録を良く確かめたい。始動後は、異音と油圧をチェックする。
トランスミッション
ZF社製の5速MTは、リビルドに高額が求められる。クラッチの滑りと内部ベアリングの異音に注意。シフトレバーの動きは基本的に渋い。シンクロメッシュの効きは弱い。
クライスラー社製の3速ATは、比較的堅牢。リビルド済みだったり、新しいユニットへアップデートされている場合も多い。
インテリア
ウッドパネルやレザーは、費用をかければ修復可能。プラスティック製トリムのほか、メーターやスイッチ類は部品が出てきにくい。