1970年代の「特別」へ浸れる アストン マーティンV8 英国究極の1台 UK中古車ガイド

公開 : 2024.01.06 19:05

新車時代のAUTOCARの評価は

このクルマは、大陸を横断するようなグランドツアラーとして、高く評価できる。圧倒的なスピードで、長距離を悠々と飲み込んでくれる。市街地ではボディがかさばり、低速域では大きめのノイズが気になるだろう。

リソースが限定される英国の小さなブランドの作品として、称賛すべき仕上がりにある。燃料インジェクションからキャブレターへの変更も、価値ある改良といえそうだ。(1973年9月6日)

アストン マーティンV8(1972〜1989年/英国仕様)
アストン マーティンV8(1972〜1989年/英国仕様)

オーナーの意見を聞いてみる

ジョン・フォアマン氏

「1974年式のV8を、アストン マーティンのディーラーで購入した過去があります。灰皿とセンターコンソールにRMとイニシャルが入っていることへ気づき、調べたら最初のオーナーは新聞事業で大成功した、ロバート・マクスウェルさんだったんですよ」

アストン マーティンV8(1972〜1989年/英国仕様)
アストン マーティンV8(1972〜1989年/英国仕様)

「走行距離を不必要に伸ばさないよう、気を使って乗っていました。しかし走りは完璧。アストン マーティン・ディーラーへ整備を頼んでいましたが、コストはだいぶ掛かりましたね」

「V8エンジンのサウンドには、中毒性があります。過去には、ロンドンへの通勤にも時々乗っていました。退職後は、維持費を考えてやむなく手放しましたが、今でも残しておけばよかったと後悔しています」

購入時に気をつけたいポイント

ボディ

ボディの状態をチェックするには、サイドシルカバーを外して観察するのが良い。多くのV8は、この付近にサビの修復を受けているはず。サイドシルやフロアパネル、AピラーとBピラーの付け根、バルクヘッド、荷室フロア、ドアのシェルなどが錆びやすい。

アルミニウム製のパネルは、スチールと触れる部分で腐食しやすい。パテが厚盛りされていないかも確かめる。

エンジン

アストン マーティンV8(1972〜1989年/英国仕様)
アストン マーティンV8(1972〜1989年/英国仕様)

パワフルなV8エンジンは、定期的なメンテナンスで長く使える。高額を要するリビルドまでに、24万km程度は耐えるようだ。多くの故障は、メンテナンス不良や放置が原因。過去の整備記録を良く確かめたい。始動後は、異音と油圧をチェックする。

トランスミッション

ZF社製の5速MTは、リビルドに高額が求められる。クラッチの滑りと内部ベアリングの異音に注意。シフトレバーの動きは基本的に渋い。シンクロメッシュの効きは弱い。

クライスラー社製の3速ATは、比較的堅牢。リビルド済みだったり、新しいユニットへアップデートされている場合も多い。

インテリア

ウッドパネルやレザーは、費用をかければ修復可能。プラスティック製トリムのほか、メーターやスイッチ類は部品が出てきにくい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーク・ピアソン

    Mark Pearson

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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