アドバン最新コンフォートタイヤ発表 試乗チェック、実力はいかに
公開 : 2023.12.26 06:05
・横浜ゴムのコンフォートタイヤ新モデルが発表
・軽自動車からミニバン、SUV向けまでをも網羅
・静粛性、特に摩耗してからの静かさに重点を置き開発
もくじ
ーグローバルブランド「アドバン」のプレミアムコンフォートタイヤ
ー新品、5分山、5分山の従来品での比較テスト
ー豊富なラインナップでさまざまな車種に対応
ー電動化時代のコンフォートタイヤとして死角なし
グローバルブランド「アドバン」のプレミアムコンフォートタイヤ
横浜ゴムの「アドバン(ADVAN)」といえば、「公道で使用可能ながらレーシングタイヤ並みの高いグリップ性能を誇るスポーツタイヤ」というイメージが強かった。
だが、横浜ゴムでは2005年から「アドバン」を世界戦略ブランドとして使用する方針に転換し、横浜ゴムの高性能/高品質/高性能をアピールするグローバルブランドとなっている。
したがって、「アドバン」の名を冠したモデルには、リアルスポーツの「アドバン・ネオバ」、欧州などでの高速安定性を重視した「アドバン・スポーツ」、ハンドリング重視の「アドバン・アペックス」など、豊富なバリエーションを展開している。そして静粛性を重視したプレミアムコンフォートタイヤが「アドバンdB(デシベル)」だ。
今回、dBシリーズの最新モデル「アドバンdB V553」が発表され、それを試すことができた。
横浜ゴムでは静粛性を重視したタイヤとして、1998年に「アスペックdB」を発表し、それ以来モデルチェンジを重ねて静粛性の向上を図ってきた。2009年に登場した5代目から「アドバンdB」となり、今回のdB V553は7代目にあたる。
先代のdB V552の登場から6年が経っており、この期間にクルマの電動化が大きく進んだ。ハイブリッド車(HV)はもちろん、プラグインハイブリッド車(PHEV)やバッテリー電気自動車(BEV)、そして燃料電池車(FCV)など、国産・輸入車を問わず車種が増えた。
つまり、エンジン音を発しないで(HVやPHEVでは常にではないが)走行するクルマが増えた。そのため、今まで以上に運転中にはタイヤの発する音などが気になるようになる。タイヤに対して静粛性を求める声が強くなる。そしてその静粛性もタイヤが減った状態でも持続することや、また乗り心地の向上も求められる。
そうした要求に応えるべく生まれたのが、このアドバンdB V553なのだ。
新品、5分山、5分山の従来品での比較テスト
今回の試乗では、まずクローズドコースで比較テストから行った。テスト車は、クラウン・クロスオーバー。タイヤサイズは225/55R19。
テスト車は、新品のV553装着車、5分山(約2万2〜3000km走行に相当する)のV553装着車、そして同じく5分山のV552(従来モデル)装着車と合計3台が準備され、同じコースを走って比べてみる。
まずは新品のV553から。乗り出した瞬間から、ロードノイズの低さを実感する。それは速度を上げていっても大きくは変わらない。ノイズの質にも気を配ったということで、とくに高周波の音が抑えられているようだ。
乗り心地も良く、路面のマンホールを踏んだりしたときの突き上げも上手にいなしている。ハンドリングに関してはさほど試す機会はなかったが、ステアリングの応答性は悪くなさそうだ。
続いて5分山のV553。低速走行時のノイズは新品より少し高まっているかなと感じるが、続けて乗り比べるから感じるレベルで、これだけ乗ってしまえば十分以上に静かだ。タイヤが減ってもノイズが高まらないようなトレッドパターンやコンパウンドによる効果だろう。
また今回は試せなかったが、摩耗時のウエットグリップ性能も従来品より向上させているという。
最後に5分山のV552。V553から乗り換えると、明らかにノイズが高く、また突き上げ感などの乗り味も感じられるのだが、これがスタンダードだと言われてしまえば納得できるレベルにある。
おそらく、これでも標準装着のタイヤよりは静かだろう。クラウンのようなハイブリッド車の場合、エンジンが停止したモーター走行状態で違いは顕著に分かるのだが、その進化ぶりに納得させられた。