フォルクスワーゲン hi-up!

公開 : 2012.12.18 17:53  更新 : 2017.05.29 18:58

アップ!はVWブランドの商品ラインナップのいちばん下に置かれるタマである。そこには従来、たとえばルポがあった。ルポのあとは、ブラジル製のフォックスをもってきて欧州でも売ったりしていた。それらとアップ!との違いは、簡単にいうとホンキ度の違い。もちろん、ホンキなのはアップ!のほう。いわば世界戦略モデルとしてのベーシックVWで、欧州市場ではフィアット・パンダあたりと競合することになる。少なくとも、セグメントは同じであるはず。

ただし、パンダと違ってアップ!はエンジンのバリエーション展開がごく簡素。すなわち、3気筒ガソリン自然吸気1.0ℓのチューン違いが2種あるのみ。日本へはそのうち、出力の高いほうが輸入される。そういうわけでアップ!、エンジンはTSIではない(エンジンフードを開けたらMPI←マルチポイントインジェクションの略でしょう)。また、トランスミッションはDSGではない。基本形である5段M/Tにアクチュエーターその他のメカをアドオンしたカタチのいわゆるAMT(ロボタイズドM/T)が日本仕様に。パワートレインの仕様をギュッと絞って勝負、というのが商品コンセプトの一部としてある模様。

クルマのカタチは、実用ハッチバックのカタチそのものに見える。原型をたどるとフィアット・ウーノあたりにいきつく感じで、ただし前後のオーバーハングがギリギリまで短いのはいかにも最新バージョン。表面のデザインに関しては、ポロから上の現行VW車とはあえてちょっと違うラインの商品に見せようとの意図が感じられる。較べると、アップ!のほうがポップで、イマっぽい。廉価車にしては、プレミアム感もたっぷりある。

ステアリングホイールの位置調整はチルトのみ。それで右ハンドルということもあって、ハンドルは少しだけ遠い。けれど、運転姿勢の設定じたいがアップライトなので大した問題ではない。背もたれをいつもより少しだけ(1ノッチ)起こし気味に、程度で妥協点は見つかる。

電動パワステの手応えは、同じVWでもゴルフあたりのものとは明らかに別モノ。サイボーグというかレプリカントというか、ああいう高度なタイプではない。ないけれど、アシスト用電気モーターの回転部分のイナーシャが感じられたり駆動部分のギヤ(ウォームギヤとウォームホイール)の引っ掛かりが強めだったり等の低レベルなネガはない。タイヤが本格的に横力を出しはじめたあたりからの変化が乏しい、一本調子っぽい手応えではあるけれど、よくできている。舵を入れてタイヤが動きはじめる(べき)ところであらぬ部分に力が逃げて、みたいなイヤな現象も別になし。

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