フォルクスワーゲン・ビートル1.4TSIスポーツ
公開 : 2012.02.11 17:05 更新 : 2017.05.29 18:59
■どんなクルマ?
新しいフォルクスワーゲン・ビートルは、より広く、より長く、より低く、より滑らかなデザインをまとった。にもかかわらず、それは古典的な空冷式のモデルの化身だと簡単に認識できるデザインである。大部分は現在のフォルクスワーゲンのプラットフォーム、それもゴルフのものを利用している。但し、フロントにはマルチリンク・サスペンションを採用しているものの、リアにもゴルフと同じ洗練されたマルチリンク・サスペンションをと望むのであれば、トップグレードの197bhpの2.0リッターTSIモデルを選ばなければならない。しかもそれは2013年にならないと販売が開始されないという。それ以外の1.2 TSIから1.6や2.0のディーゼル・モデルも、今回テストした158bhpの1.4TSIスポーツも含めて、リアにはトーションビーム・サスペンションが採用されている。
■どんな感じ?
前モデルよりも良くなっている。しかし、それはローストビーフを薄いお粥と比べて美味しいでしょと言っているようなものだ。
インテリアは、ピアノ・ブラックのカラーパネル(中級モデルはボディと同色のカラーパネルが採用される)の上の、シンプルなスイッチと、細いリムのステアリング・ホイール、そして2つのグローブボックスなどが、ゴルフやシロッコにない面白みを醸しだしてくれる。トランクは、方形で310リッターあり、50/50の分割可倒式のリアシートが装備される。そのリアシートについては、2人が限度で、平均身長よりも高い人であれば窮屈さを感じる広さだ。
ダイナミクスについては、ぞんざいな感じを否めない。ステアリングは標準的なハッチバックよりも重いし、接地感が伝わってこない。ビートルを無理にスポーティな感じに仕上げた気がすると同時に、その期待外れ感は、このクルマの多くの部分に感じるのである。
われわれがテストした18インチホイールを履くスポーツモデルは、統合失調症といった感があった。穏やかなアンジュレーションや、2級国道、または高速道路のような路面では、ダンピングもよく聞いていて、ハンドリングも良好だった。しかし、市街地に入ると、明らかに固くそわそわした足回りになる。
スーパーチャージャーとターボチャージャーが組み合わされたエンジンも明らかに間違いだ。6000rpmのレブリミットまでスムーズに回るが、如何せんパンチがない。0-100km/h加速が8.3秒だとは到底思うことができなかった。
■「買い」か?
フォルクスワーゲン・ビートルは、そのスタイルが唯一理にかなった点だ。また、インテリアもそうかも知れない。ただ、それらの要素が魅了と感じるならば、若干の欠陥によって購入を延期するような動機付けにはならないかもしれない。事実、それほど悪いクルマではない。ただ、このクルマの問題点は、エンジニアリングよりもマーケティングにあると思う。シロッコすら買えてしまうその価格付けは、本当に許せないと感じるのだが。
(ヴィッキー・パロット)
フォルクスワーゲン・ビートル1.4TSIスポーツ
価格 | 21,220ポンド(254.6万円) |
最高速度 | 206km/h |
0-100km/h加速 | 8.3秒 |
燃費 | 18.2km/l |
Co2排出量 | 153g/km |
乾燥重量 | 1359kg |
エンジン | 4気筒ツインチャージド1390cc |
最高出力 | 158bhp/5800rpm |
最大トルク | 24.1kg-m/4500rpm |
ギアボックス | 6速マニュアル |