【実際に購入レポート】ポルシェ・タイカンの長期テスト(18) 遂に走行距離が3万km越え 知らなかったバッテリーの不都合

公開 : 2023.12.26 17:45

AUTOCAR JAPANの笹本健次編集長のポルシェ・タイカン購入レポート。今回編集長は「EVを使用するという事は、現時点で実に煩わしい」と述べました。その真意と背景を覗いてみましょう。

直近タイカンで遠出の第一回目

前回のレポートからの間、2回タイカンで遠出をしてみたところ、意外な弱点を発見することになってしまった。

第一回目は、甲府から上越市まで片道約250kmの行程を1泊2日で訪ねた時の事だ。旅行日は11月11日で、天気予報は珍しく典型的な冬型になった。という事は、出発地点の甲府は晴れだが、到着地である日本海沿いの上越市は雨、またはみぞれの可能性があるという状況であった。

遂に走行距離が3万km越え 知らなかったバッテリーの不都合
遂に走行距離が3万km越え 知らなかったバッテリーの不都合    笹本健次

前夜に8kWの充電器で満充電にしていたので、出発時の走行可能距離は382kmあり、目的地に余裕で到着し現地での移動も問題ないと思われた。

ところが、上越市までの高速道路のルートを見ると判るが、中央道で八ヶ岳の裾野の小淵沢までの勾配、そして長野道で姨捨に至る峠、さらに信越道の妙高高原へのアップダウンと、3つの上り下りがあり、従って電力の消費は実際の走行距離よりもかなり多く、上越市に到着した時には、走行可能距離は100kmを切っていた。

50kmを切るとかなり強力なワーニング

上越市内で、くびき野レールパークまで往復したりしているうちに、どんどんメーターの数値は減り、宿であるルートインに到着した時には、走行可能距離が47km/バッテリー残量14%となっていた。走行可能距離が50kmを切るとかなり強力なワーニングが点くのも、初めての体験であった。このレベルになると、正直、かなり不安になる。

事前に、上越市周辺のEV充電器の情報を収集すると、殆どは3kWであり、タイカンレベルのEVに必要な6~8kWの充電器は、ルートインに6kwhがあるだけだと判った。上越市のような人口20万人未満レベルの都市では、ポルシェのディーラーは存在せず、民間でもまだ充電器の整備は全く進んでいないので、充電インフラは極めて脆弱であると感じた。

遂に走行距離が3万km越え 知らなかったバッテリーの不都合
遂に走行距離が3万km越え 知らなかったバッテリーの不都合    笹本健次

ルートインでは充電器の予約もお願いしていたが、現地に到着してみると、エネチェンジのシステムが装備されていた。実際の操作は簡単でQRコードを読み込んだのち、カード認証を選択すれば直ぐに充電がスタートする。開始時の電力は4.7kwhしか流れていなかったが、翌朝6時6分には満充電になるという表示が出ていたので、安心してクルマを離れた。

ところが、翌朝9時にクルマに乗り込むと、あろうことか、満充電のはずが61%/走行可能距離219km分しか充電されていなかったのである。これでは当然、甲府には帰り着かないので、途中の高速道路のSAで急速充電を行わざるを得ないことになってしまった。

なぜ。こんなことなったのか、原因は3つ考えられ、1つはホテルの電力ディマンドの関係で調整が働いた可能性、もう1つは、エネチェンジの充電器そのものの問題、最後はタイカンのシステムの問題であったが、すぐにエネチェンジの相談コーナーに電話をし、調査を依頼した。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    笹本健次

    Kenji Sasamoto

    1949年生まれ。趣味の出版社ネコ・パブリッシングのファウンダー。2011年9月よりAUTOCAR JAPANの編集長、2024年8月より総編集長を務める。出版業界での長期にわたる豊富な経験を持ち、得意とする分野も自動車のみならず鉄道、モーターサイクルなど多岐にわたる。フェラーリ、ポルシェのファナティックとしても有名。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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