中国ニオ、マイバッハに対抗 最高級モデル「ET9」公開 先進のフラッグシップEV

公開 : 2023.12.26 06:05

・中国のニオ(NIO)からあフラッグシップモデル「ET9」が登場。
・高性能コンピュータ、四輪操舵、ステアバイワイヤなど先端技術を採用。
・マイバッハ、BMW、ポルシェなどに対抗する電動クロスオーバー。

高級車市場に挑戦状

中国の自動車メーカーであるニオ(NIO)は、新型EVの「ET9」を公開した。2025年初頭に中国で発売される見込みで、価格は80万人民元(約1600万円)からとされる。

ニオの最先端モデルであり、これまでで最も高価なモデルでもある。欧州の高級車ブランドに対抗するフラッグシップモデルとなる。

ニオET9
ニオET9    ニオ

ボディサイズは全長5300mm、全幅2016mm、全高1620mm、ホイールベースは3250mm。

ET9の発表会で、ニオのウィリアム・リーCEOはメルセデス・マイバッハSクラス、アウディA8BMW 7シリーズポルシェパナメーラに言及し、新型車が狙っている市場を示した。

リーCEOはET9を「ランドジェット」と表現している。この言葉は、アウディが2020年のコンセプトカーで使用した造語である。

古典的なセダンのボディラインと現代的なSUVのラインが組み合わされた、クーペ・クロスオーバーのシルエットを持つ。最低地上高200mm、最大23インチのホイールを履く。

キャビンは2+2の4人乗りレイアウトとなっている。リアシートはET9専用開発で、18ウェイの電動調整機能とリクライニング機能を備える。また、フロントシート後部には14.5インチの有機ELが取り付けられている。

リアシートには折り畳み式テーブルと10Lのミニ冷蔵庫が用意され、最大7つの電動サンシェードも装備される。

5分で255km分を充電 

心臓部には、新開発の900Vアーキテクチャと独自の1200V SiC(炭化ケイ素)パワーモジュールが組み合わされている。ニオによれば、最大600kW、765Aの充電に対応し、5分間で255km分を充電できるという。

新しいアーキテクチャを採用することで、電気モーターのサイズと重量を既存のET7の800Vシステムよりも削減した。

ニオET9
ニオET9    ニオ

ET9には、5nm、32コアの車載プロセッサ「NX9031」が搭載される。500億以上のトランジスタを持ち、業界平均より75%高速で、毎秒6兆以上のコマンドを実行できるとされている。これにより、センシング、コンピューティング、プランニング、コントロールの同時処理が可能になる。

パワートレインとしては、新たに開発された2基の電気モーターを採用。リアには最大2万rpm、最高出力340kW(462ps)のモーターを、フロントには180kW(245ps)のインダクションモーターを搭載する。

120kWhのリチウムイオンバッテリーには円筒型セルを採用し、セルエネルギー密度は292Wh/kgとされる。バッテリーは交換可能で、外出先での充電時間を省くことができる。ニオの第4世代のバッテリー交換ステーションは、最大23個のバッテリーを貯蔵し、1日あたり最大480回の交換作業が可能だ。

「スカイライド」と呼ばれるシャシー・システムで各輪を個別制御し、ステア・バイ・ワイヤ、四輪操舵を実現するとされる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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