フィアット・プント・ラウンジ

公開 : 2012.12.18 18:18  更新 : 2017.05.29 18:51

新型プント登場! というと頭が混乱してしまう人もいると思うので、まずはおさらいから。1994年にウーノの後継として登場したスモールハッチが初代プントで、1999年には2代目が登場。3代目はイタルデザインによって全面的に刷新されたモデルで、大きくなったボディから“グランデ・プント”と名付けられ、2005年にデビューしている。2009年に“プント・エヴォ”を名乗ったが、マイナーチェンジなのでバンパー等が変更された以外、スタイリングはそのまま。そして今回、プント・エヴォから素の“プント”に名称が戻り、2012年9月1日から発売が開始された。ちなみにこれも3代目プントの2度目のマイチェンなので、基本スタイルはそのまま。1.4ℓ直4 SOHCのエンジンと5速のデュアロジックという機構部分も踏襲されている。パッと見でわかる外観の変化は、エヴォだった時期にはバンパーにブラックアウトされた部分が目立っていくぶん攻撃的だったが、今回はバンパー全体がボディと同色になりすっきりとした雰囲気を纏っている。
 
業界的には、フルモデルチェンジしたいのに色々事情があるんでしょうねぇ、となるのだろう。実際にキラリと光る金属キーをグイッと捻ってエンジンを掛けるという古式ゆかしいスタートアップ・シークエンスからも想像出来るとおり、ハード面は明らかに古く、表面的なアップデートも行き渡っているとは言い難い。アイドリングストップ機能もちゃんと備わるが、再始動の際のブルッという振動が返って古さを醸し出すのだ。だからドライブしてみた第一印象は冴えないけれど、しばらく走っているとドライブフィールの中にいくつもの“心地良い懐かしさ”が散りばめられていることに気づく。その根源となっているのはストローク感たっぷりの足まわりに奢られた65扁平のタイヤだ。何しろ乗り心地がいいし、ドイツ製ほどには硬くないボディとの相性がいい。考えてみればイタリア車は、最先端のテクノロジーではなく、人間味の感じられる味付けにこそ特徴があったのだから、これは不思議なことではないだろう。新型プントはプレミアム一辺倒な昨今の輸入車が忘れてしまった“いい塩梅”を見事に具現化した稀有な1台だと思った。

(文・吉田拓生  写真・花村英典)

フィアット・プント・ラウンジ

価格 230万円
0-100km/h加速 13.2秒
最高速度 165km/h
燃費(10・15モード) 15.7km/ℓ
CO2排出量 148g/km
車両重量 1140kg
エンジン形式 直4SOHC, 1368cc
エンジン配置 フロント横置き
駆動方式 前輪駆動
最高出力 77ps/6000rpm
最大トルク 11.7kg-m/3000rpm
馬力荷重比 68ps/t
比出力 56ps/ℓ
圧縮比 11.1:1
変速機 5段シーケンシャルMT
全長 4080mm
全幅 1685mm
全高 1495mm
ホイールベース 2510mm
燃料タンク容量 45ℓ
荷室容量 275-1030ℓ
サスペンション (前)マクファーソン・ストラット
(後)トーションビーム
ブレーキ (前)φ257mmVディスク
(後)φ228mmドラム
標準タイヤサイズ 185/65R15

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