世界を変えたフォード 覚えておきたい偉大な名車 49選 前編
公開 : 2024.01.03 18:05
フォード・サンダーバード(1957年)
同じ名前を持ち、間隔を空けずに生産されたクルマの中で、初代サンダーバードと2代目サンダーバードほど際立った違いを持つものも珍しいだろう。大型化して2人乗りから4人乗りとなり、スタイリングも大きく変わり(愛称:スクエアバード)、コンバーチブルとクーペの2種類が用意された。
新開発のFE V8の5.8Lバージョンと、後にさらに大排気量の7.0L V8 MELエンジンによって、パワーも向上した。こうした違いの複合効果は驚異的だった。販売期間は初代と同じ3年だが、販売台数は4倍の20万台弱を記録した。
フォード・タウヌス(1957年)
ドイツ・フォードは60年にわたりタウヌスという名の乗用車を生産した。最も注目されたバージョンの1つがP2で、1957年から1960年までセダン、ステーションワゴン、コンバーチブルの3種類が生産され、市場規模が小さかったにもかかわらず第2世代サンダーバードを上回るセールスを叩き出した。
この時期のドイツ・フォードの基準からすると、P2は派手なスタイリングが特徴で、「バロック・タウヌス」という愛称が付けられたほどだ。後に登場したP3は目新しい菱形のヘッドライトを採用したものの、それ以外は非常に控えめであったため、「バスタブ」と呼ばれるようになった。
1957年フォード
1957年から1959年にかけて生産されたフルサイズのフォードは、55年型よりも全長が長くて全高は低く、スタイリングはさらに大胆になるなど、まさに時代の最先端を行くものだった。見た目だけではない。シャシーフレームは従来よりも約30cm広くなり、乗員はシャシーの上に座るのではなく、シャシーに囲まれるように座る。
エンジンはマイレージ・メーカーの直6、YブロックV8、FE V8(5.8Lもある)から選ぶことができた。さらに、サーボブレーキ、パワーステアリング、電動ウィンドウ、4ウェイ電動シートなど、「パワーアシスト」と呼ばれる装備が追加されている。米国の消費者はこれらすべてを気に入り、フォードはベストセラーブランドに成長。1935年以来トップを独占していたシボレーから王座を奪った。
(写真:フェアレーン500ビクトリア・ハードトップ・クーペ)
フォード・アングリア(1959年)
英国フォードが生産した4種類のアングリアのうち、1959年に登場したものが最も特徴的だ。エルムウッド・エンゲル(1917-1986)が手がけたこのモデルは、逆傾斜のリアウィンドウで大きな話題を呼んだ。
冒険的なスタイリングはさておき、エンジンは優秀だった。「ケント」エンジンシリーズの第1弾で、当初は排気量997ccで、吸気ポートと排気ポートが同じ側にあった。その後、クロスフロー式シリンダーヘッドの大排気量バージョンも登場し、オーバーヘッドカムシャフトのロータス・ツインカムやコスワースBDシリーズのベースにもなった。