メルセデス・ベンツCLA 250eへ試乗(2) フェイスリフトで訴求力増強 スポーティな4ドアクーペ

公開 : 2024.01.07 19:06

加速力で勝るディーゼル スポーティな走り

他方、CLA 220dの2.0Lディーゼル・ターボエンジンは、加速力で勝る。現実的な環境ではより鋭く、洗練され、トルクが太く扱いやすい。マイナス点といえば、アイドリングストップ機能の反応が、若干鈍いことくらいだろう。

操縦性は、メルセデス・ベンツが主張するとおり、なかなかスポーティ。姿勢制御は適度に引き締まり、シャシーバランスに優れ、高速域でも落ち着いている。リア・サスペンションがトーションビーム式になる、250eでも。

メルセデス・ベンツCLA 250e AMGライン・プレミアムプラス(英国仕様)
メルセデス・ベンツCLA 250e AMGライン・プレミアムプラス(英国仕様)

旋回時のロールや、加減速時のピッチを巧みに抑制。このクラスのサルーンやハッチバックとしては、軽快に回頭していく。ただし、太いトルクを一気に展開してしまうと、フロントタイヤが乱れてしまうが。

乗り心地は良好ながら、メルセデス・ベンツ特有といえる、ザラついたノイズが大きいかもしれない。試乗車は2台ともAMGライン・グレードで、ローダウン・スポーツサスに19インチのアルミホイールを履いていたことも、それを増長させていたようだ。

理想的な静けさより、1割ほど及ばないと思う。タイヤの空気圧が高すぎる状態のように。それでも不快なほどではなく、不満を抱くオーナーは限られるだろう。

車重が増えるCLA 250eでも、動的特性で足かせを実感することはなかった。リアがマルチリンク式の220dへ引けを取らず、操縦性は軽快で、衝撃吸収性もイイ。

フェイスリフトで訴求力向上 称賛の仕上がり

フェイスリフト後のCLAの英国価格は、スポーツ・エグゼクティブ・グレードで約3万5000ポンド(約647万円)から。Aクラスの同グレードと比較すると、約3000ポンド(約56万円)以上お高い。内容を考えると、少々そぐわない価格差かもしれない。

燃費は、空力特性に優れる滑らかなボディが貢献。CLA 220d シューティングブレークの場合、110km/hのクルージングで平均21.2km/Lに届く。250eでは、駆動用バッテリーの充電が切れても、同条件で17.5km/L程度が得られる。

メルセデス・ベンツCLA 250e AMGライン・プレミアムプラス(英国仕様)
メルセデス・ベンツCLA 250e AMGライン・プレミアムプラス(英国仕様)

2代目CLAは初代から確実に実力を高めていたが、フェイスリフトによって、訴求力は一層増したといえる。モダンなインテリアを備え、適度にスポーティで、積極的に運転したいと考えるドライバーの気持ちにも応えてくれる。

俯瞰すると、リアシートは狭く、実用性はほどほど。同クラスの中で、価格設定は強気でもある。しかし、動力性能に不満はなく、操縦性は正確で、乗り心地は上質。2代目の前期型から、高級感や洗練度も増している。

流麗なスタイリングに、惹かれる人も少なくないだろう。小さなメルセデス・ベンツとして、称賛できる仕上がりだと思う。

◯:魅力的なスタイリング スムーズで高効率なエンジン
△:子供向きの広さのリアシート 上級グレードほど強気の価格

メルセデス・ベンツCLA 250e AMGライン・プレミアムプラス(英国仕様)のスペック

英国価格:5万1130ポンド(約946万円)
全長:4688mm
全幅:1830mm
全高:1439mm
最高速度:228km/h
0-100km/h加速:7.6秒
燃費:90.9km/L
CO2排出量:23g/km
車両重量:1765kg
パワートレイン:直列4気筒1332cc ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:15.6kWh
最高出力:218ps(システム総合)
最大トルク:−kg-m
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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