「アメ車」の代表選手 フォードを支えた珠玉の名車 8選 モデルTからエクスプローラーまで

公開 : 2024.01.01 18:05

フォードマスタング(1964年)

この記事を読まれる方であれば、「ポニーカー」という言葉は聞き馴染みがあるかもしれない。ポニーカーの定義はいくつか考えられるが、1つは北米で設計・生産された小型の高性能クーペまたはコンバーチブルである。その先駆けは、1964年にデビューし、瞬く間に社会現象となった初代マスタングである、というのが一般的な見解だ。

初代マスタングは直6エンジンを選択することもできたが、消費者に好まれたのはV8だった。V8にはウィンザーやクリーブランド、FEなどと呼ばれる複数のユニットが存在する。1969年と1970年に短期間使用されたボス302は、ウィンザーにクリーブランド(当時はまだ本格生産されていなかった)のシリンダーヘッドを載せたものだ。

フォード・マスタング(1964年)
フォード・マスタング(1964年)

最新の第7世代に至るまで、マスタングは米国を代表するスポーツカーの1つとして広く親しまれている。なお、2019年に電動クロスオーバーのマスタング・マッハEが登場したが、系列も中身もまったく異なる。無関係のクルマに「マスタング」の名を与えることについては、ファンや評論家の間からさまざまな意見が聞かれた。しかし、フォードの歴史を振り返ってみても、知名度の高い車名を別のクルマに流用することは決して珍しくないので、今後も1つの戦略として続けられるだろう。

フォードGT40(1964年)

ロードカーとして発売されたGT40だが、耐久スポーツカーレースで勝利を収めること、つまりフェラーリを打ち負かすことを目的に開発されたレーシングカーだ。7.0L FE V8エンジンをミドマウントし、全高が約40インチ(1016mm)であることにちなんでGT40と名付けられた。

有言実行、GT40は1966年と1967年のル・マン24時間レースに出場すると、見事に優勝を果たした。その後、排気量5.0L以上のエンジンを禁止する新レギュレーションが導入された。フォードはこれを受けて4.9LのウィンザーV8に変更し、1968年と1969年にもル・マンで優勝した。

フォードGT40(1964年)
フォードGT40(1964年)

フォード・トランジット(1965年)

商用バンの代名詞的存在。トランジットの名は、1950年代半ばにドイツ・フォードが開発した商用車に初めて用いられたが、現在のモデルラインは1965年10月デビューの英国仕様にさかのぼるというのが一般的な見解だ。

搭載されるV型4気筒エンジンは非常に短く、トランジットの窮屈なボンネットにすっぽり収まっている(直4やV6では、ノーズエクステンションを必要とした)。1977年のフェイスリフトではノーズが長くなり、新しいエンジンを搭載できるようになった。これはトランジット・マークIIと呼ばれることもあるが、完全な新型車が登場するのは、初代の発売から20年以上経った1986年であった。

フォード・トランジット(1965年)
フォード・トランジット(1965年)

現在も人や物を運ぶクルマとして、世界中を駆け回っている。ピックアップトラックのFシリーズと並ぶ、フォードの商用車の双璧と言えるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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