ホンダNSX(1990年)

ホンダ初の普通乗用車であるS500(1963年)はスポーティな2シーターで、その後も大小さまざまな四輪車を世に送り出してきたが、中でもNSXは並外れた存在であった。

ゴードン・マレーマクラーレンF1の設計に携わっていたときにNSXに乗り、その瞬間、「フェラーリポルシェランボルギーニなど、わたしが参考にしていたベンチマークとなるクルマがすべて頭から消え去った」と後に書いている。

 ホンダNSX(1990年)
ホンダNSX(1990年)

ヴォグゾールロータス・カールトン(1990年)

オペル・ロータス・オメガとしても知られるこのクルマは、ドイツのオペル工場から英国のロータス本社に運ばれた3000GSI 24vをベースに開発された。ロータスが行ったのは、エンジン排気量を3.0Lから3.6Lに引き上げ、ツインターボチャージャーを装着し、サスペンションとブレーキを改良することだった。

当時の最高オクタン価の燃料で382psを発生し、足回りもそのパワーに容易に対応できた。英国では公道からの追放を求める声が上がるほど物議を醸したが、このような要求はヴォグゾールにとっては後にも先にもこれっきりである。

ヴォグゾール・ロータス・カールトン(1990年)
ヴォグゾール・ロータス・カールトン(1990年)

プリムス・プロウラー(1997年)

クライスラー傘下のプリムスのブランド末期には、人々を興奮させるようなものはほとんどなかった。唯一の例外は、古風なホットロッドのようなスタイルを持つプロウラーで、ミーアキャットの檻にいるキリンのように、プリムスの中では際立っていた。

さまざまな議論を呼んだが、V6エンジンとオートマチック・トランスミッションについて文句を言いたい人が多かったようだ。派生モデルとしてV8も計画されたが、量産化されることはなかった。

プリムス・プロウラー(1997年)
プリムス・プロウラー(1997年)

ロールス・ロイス・シルバーセラフ(1998年)

シルバーセラフはロールス・ロイスの通常の6.75L V8ではなく、BMWの5.4L V12エンジンを採用した。BMWがロールスを買収するはるか以前から、両社の間にはすでに協定が結ばれていたからだ。しかし残念ながら、V12エンジンはこのクルマには合わなかった。

V8よりもパワフルだったが、その性能を最大限に引き出すには、ロールスらしからぬ5000rpmまで回転させなければならない。その半分以下の回転数では、V8の方が圧倒的に力強かった。パフォーマンスに力を入れることは7シリーズでは許容されたかもしれないが、ロールス・ロイスのドライバーが慣れ親しむものではない。エンジンの共有は、ビジネス的には「良いこと」なのだろうが、必ずしも正解には至らない。

ロールス・ロイス・シルバーセラフ(1998年)
ロールス・ロイス・シルバーセラフ(1998年)

記事に関わった人々

  • AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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