晴れた日が待ち遠しい トライアンフTR6 楽しく現実的な英製クラシック UK中古車ガイド

公開 : 2024.01.10 19:05

爽快なブリティッシュ・オープンスポーツを味わえるトライアンフTR6 晴れた日が待ち遠しくなる運転の楽しさ 英国編集部が魅力を再確認

晴れた日が待ち遠しくなるクラシックカー

春を心待ちにしている、クルマ好きは多いだろう。太陽が暖かく感じられるようになったら、トライアンフTR6にもピッタリな季節が到来といえる。

あと数か月も経てば、グレートブリテン島では沢山のオープン・スポーツカーが、冬眠から目覚め始める。笑顔で流すドライバーを目にする人たちも、思わず笑顔になる。

トライアンフTR6(1969〜1976年/英国仕様)
トライアンフTR6(1969〜1976年/英国仕様)

TR6を動かす2.5L直列6気筒エンジンは、周囲の人をサウンドでも喜ばせる。動力性能は優先されていなかったものの、1973年式以前の前期型で152psを発揮した。後期型では、強化された排気ガス規制へ合致させるため、126psへ絞られた。

トライアンフは、カーマニアがイメージや個性に憧れて選ぶモデルといえる。ジョヴァンニ・ミケロッティ氏がベースを描いたスタイリングは洗練され、停まっているだけで見惚れてしまう。

4速MTのシフトレバーを軽快に動かし、春風を肌で感じる。景色の良い田舎道を飛ばし、自然に包まれたカフェやレストランで小腹を満たす、休日の過ごし方は悪くない。晴れた日が待ち遠しくなる、クラシックカーだ。

もちろん、TR6は古い英国車だからトラブルはつきもの。しかし、英国ではMGBと同様に、基本的な部品を簡単に入手できる。メカニズムはシンプルで、たとえ不具合が生じても、原因に頭を悩ませることはないはず。

動力性能は充分 この上なく運転が楽しい

TR6が生産されたのは、1968年から1976年まで。生産数は少なくなかったが、その殆どは北米市場へ輸出された。英国で販売されたのは8370台だったのに対し、輸送船に積まれたのは8万3480台だった。

TR5のアップデート版といえるTR6では、ドイツのカルマン社がミケロッティのスタイリングに手を加えている。シャシーやエンジン、ドア、フロントガラスなど、多くのコンポーネントを流用しつつ、巧みにモダナイズされていた。

トライアンフTR6(1969〜1976年/英国仕様)
トライアンフTR6(1969〜1976年/英国仕様)

オープンボディが基本で、脱着が少々難しいカンバス製ソフトトップが備わる。スチール製のハードトップが付いているTR6も存在するが、軽くなく、取り外しには大人2名が必要だ。

1974年式以降は標準装備になったが、それ以前はオーバードライブがオプション。電子制御され、アクセルペダルの踏み加減で切り替えることができる。

1970年代のスポーツカーとして、動力性能も充分。前期型では0-97km/h加速を8.8秒でこなし、開放感も伴って、数字以上に速く感じられる。

車重は1130kgと軽く、操縦性は軽快。ステアリングレシオはスローで、乗り心地はバウンド気味。シャープな身のこなしが得意とはいえないものの、ステアリングホイールへ伝わる感触は明瞭で、運転はこの上なく楽しい。

高騰していない取引価格も魅力。現実的な予算で手に入る、ブリティッシュ・クラシックカーだといっていい。数は徐々に減りつつあるものの、探せば望ましい1台が見つかるはず。春に向けて、出発の準備を進めてみてはいかがだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    オリバー・ヤング

    Oliver Young 

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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