メルセデス・ベンツA45 AMG vs ルノー・メガーヌR.S.275トロフィー-R
公開 : 2014.11.19 23:50 更新 : 2021.03.05 21:35
6月22日。ニュルブルクリンク北コースにてルノーR.S. 275トロフィー-Rは7分54秒36という金字塔を打ち立てた。以前にセアト・レオン・クプラ280が打ち立てたベスト・ラップよりも4.0秒の短縮である。
さらに遡ること2010年、現行のメガーヌのホットハッチとしての歴史が始まった。初のモデルの名前はR.S. 250。カップカーのグレードの価格はわずか£21,995(401万円)からだった。今回のテスト車両のトロフィー-Rはオプションを装着した状態で £39,300(717万円)。リミテッド-エディションはというと、オプションを装着しない状態でも、ベースとなったトロフィー-Rより£7,500(137万円)割高になる。
まぁ確かに、£2,000(36万円)を支払ってオプション装着していたオーリンズ製の可変ダンパーが最初からついたりと、それなりのメリットは得られるのだが、価格上昇分のほとんどは、内装の軽量化に充てられたと考えていただいていい。
エアコン、ステレオ、防音材、後部座席はそっくりそのまま取り除かれることにより、500万円台中盤のライバルたちの ’わずか下’、という価格に落ち着いた。
一方のR26.Rは、フォード・フォーカスRSの立ち位置を確実に揺るがせたクルマだったのだが、今となっては、フォーカスには多様なオプション装備が用意され、R26.Rの脅威は当時ほどではなくなった。フォーカスRSは軽量化よりも出力向上に力が注がれ、最終的には304psに到達した。ちなみに後席が排除されたりはしておらず、直線ではルノーよりも速い。
その結果、ルノーも、パワーや使い勝手、絶対速度や高級感を兼ね備えることを余儀なくされたのである。
周りを見わたせば、今現在もっとも高価なホットハッチとしてメルセデス・ベンツA45 AMGの存在を無視するわけにはいくまい。しかしもっとも高価と言っても、トロフィー-Rと£1,765(32万円)しか変わらないというのだから、驚きといえば驚きである。しかもA45 AMGに至っては、最初からデュアル-クラッチ・トランスミッションが装着されているし、駆動方式は4WDだ。2日間のテストで、275psのトロフィー-Rが360psのA45 AMGとどのような勝負を繰り広げるのだろうか? 早速始めよう。
1日目
30台のうちの1台であるトロフィー-Rにふさわしい場所を考えた結果、ブライトン・ベターランズにて、1日目を過ごすことにした。
往路は、筆者が担当していた長期テスト車両としてもお馴染みの純白のA45に乗っていくことにした。乗るたびに思うのは、(a) ハッチバックでは珍しい足元の硬さ、(b) 1991ccという排気量に対し、常識を覆すパワー、 (c) まるで石棺のなかにいるのではないかと錯覚してしまうほどの遮音性、のことである。
筆者とカメラマン、そしてその荷物を乗せると、総重量は約1800kgくらいになるのだが、2250rpmで45.9kg-mものトルクを叩き出すおかげで、車重増加分を感じさせられることはまったくない。