【現実の環境でテスト】アウディQ8 55 eトロン・クワトロSライン 高速道路や峠道で検証

公開 : 2024.01.05 09:17

現実に即した環境でアウディQ8 55 eトロン・クワトロSラインに試乗。充電結果や電費、ドライブフィールなど、良かったこと、気になったことを紹介。

アウディBEVの最上級車種

アウディのBEV先駆車として、eトロンがデビューしたのは2021年の春であった。それから丸2年半が経ち、現在は同じボディでありながら内外装共に大きく変わり、バッテリーも強化されて、Q8 eトロンとなった。

今後アウディ各車の名称はEVを偶数で、それ以外を奇数で呼ぶことになり、従ってQ8はEVの中での最上級車種ということになる。

アウディQ8 55 eトロン・クワトロSライン
アウディQ8 55 eトロン・クワトロSライン    戎大介

今回、改良されたQ8 eトロンを試乗するにあたり、2021年の9月に行った先回の試乗記を読み返してみると、当時は我が家にも、甲府の旅館にもまだ3.2kWhの充電器しかなく、試乗車のeトロンも71kWhのバッテリーで316kmの航続距離しかなかった。

そして、充電にも10時間以上かかっており、現在の、8kWhが双方に設置されている状況と比べると、隔世の感がある。特に旅館の方は、アウディの充電器も2基設置されているので、アウディ・オーナーにとっては万全であろう。

今回、借り出したクルマは、Q8 55 eトロン・クワトロSラインで、114kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、航続距離も501kmと飛躍的に向上している。フロントフェイスは立体感を帯びたデザインに変更され、ブラックフィニッシュで迫力が増している。

塗色は、最近流行りのパステル調のカラートーンで、クロノスグレーメタリックという名のグリーンがかったグレーである。

「逆にいいこと」とは?

最近、相次いで発売となったメルセデスのEQEEQSを試乗した眼で見ると、内装はおとなしく、コックピットもごく普通のICEのアウディと殆ど変わらない。しかし、これが逆に違和感なくEVへの乗り換えを可能にするかもしれない。

走りだしてみるとEVの定石通り、スムーズで静か、そして必要な情報はほぼ全て得られる。残念なのは、バッテリーの残量が数値では判らない点である。ただ、電費は数値で表示されるので、走りとの関連性は理解できる。

アウディQ8 55 eトロン・クワトロSライン
アウディQ8 55 eトロン・クワトロSライン    戎大介

ステアリングは、切り始めがやや曖昧であるが全体としてはクイックで中央道のようなコーナーの多い山岳高速道路でも、気持ちよく走り抜ける。いつものタイカンと同様のスピードで、何の問題もなくスムーズに走ることが出来た。

サスペンションのストロークは深く、路面の変化によく追随してくれるが、スポーツモードに切り替えると、ロールが抑えられ、非常に機敏な走りが実現できる。車重は見かけよりも遥かに重く2.6トンもあるが、それを感じさせない充分なパワーで不自由は感じない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    笹本健次

    Kenji Sasamoto

    1949年生まれ。趣味の出版社ネコ・パブリッシングのファウンダー。2011年9月よりAUTOCAR JAPANの編集長、2024年8月より総編集長を務める。出版業界での長期にわたる豊富な経験を持ち、得意とする分野も自動車のみならず鉄道、モーターサイクルなど多岐にわたる。フェラーリ、ポルシェのファナティックとしても有名。
  • 撮影

    戎大介

    Daisuke Ebisu

    1972年生まれ。学生時代はゲージュツを志すもネコ・パブリッシングの関連企業に就職し、個人売買情報誌クアントや通信販売SCENA、自社広告などの制作に携わる。その中で取材/撮影から執筆/デザイン/編集までを1人で完パケする仕事スタイルを確立し今に至る。現在は甲府は湯村温泉で半ば隠者となりながら、当サイトのスペシャルショップと常磐ホテルSNS更新で命脈をつなぐ。写真機材はクルマメディアの現場では他に出逢わないPENTAX。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事