トヨタが育てた「欧州車」 3代目アベンシス 英国でも定評の信頼性 UK中古車ガイド

公開 : 2024.01.11 19:05  更新 : 2024.01.12 07:47

トヨタの欧州車、アベンシスへ厚い信頼を寄せる英国人 最高の技術力で応えた3代目 SUVに紛れない価値ある選択肢 英国編集部が魅力を再確認

トヨタへ厚い信頼を寄せる英国人

友人の1人は、かつてトヨタ・アベンシスに乗っていた。1997年に発売された初代だった。筆者の父も、2台を乗り継いだ。信頼性を重視する年齢になっており、まさに理に適った選択といえた。

実は妻も、アベンシスに気に入って乗っていた。後にBMW 320d クーペへ買い替えたのだが、納車から数週間後にターボが故障。トヨタの信頼性の高さを、改めて実感した瞬間だった。

トヨタ・アベンシス・ツーリングスポーツ(3代目/2009〜2018年/英国仕様)
トヨタ・アベンシス・ツーリングスポーツ(3代目/2009〜2018年/英国仕様)

どんなメーカーのクルマでも、不具合からは逃れられないだろう。それでも、多くの英国人はトヨタへ厚い信頼を寄せている。そんな人々へ最高の技術力で応えたモデルが、2009年から2018年まで売られていた、3代目アベンシスだ。

先代までと同じく、アベンシスはグレートブリテン島中部のダービーシャー州にある、トヨタの工場で生産。サルーンとステーションワゴンの他に、短期間ながらハッチバックも用意されていた。

ライバルはフォード・モンデオや英国オペルヴォグゾール・ベクトラなど。実際のところ、運転の楽しさに加えて、インテリアやスタイリングではフォードの方が有利といえた。信頼性も悪くはなかった。

それでも、アベンシンスの走りは静かで快適。製造品質は高く、車内空間にはゆとりがあった。妻も、そんな強みを高く評価していたようだ。ステーションワゴンは、日本へも輸出されている。

英国市場で提供されたエンジンは多彩。自然吸気で147psの1.8L 4気筒ガソリンや125psの2.0L 4気筒ディーゼルターボが主力で、特に後者は30.5kg-mとトルクが太く、キャンピングトレーラーなどの牽引もこなした。

SUVに紛れない、今でも価値ある選択肢

3代目は、2012年に1度目のフェイスリフトを受ける。スタイリングヘ手が加えられ、静寂性や乗り心地を改善。サポート性に優れるシートへ置換され、2.0Lディーゼルターボは燃費も向上した。

2015年にもフェイスリフトが行われ、新しいトヨタ顔を獲得。インフォテインメント・システムがアップデートされている。ステーションワゴンは、ツアラーからツーリングスポーツへ改名された。ディーゼルターボエンジンには、1.6L版が追加されている。

トヨタ・アベンシス・ツーリングスポーツ(3代目/2009〜2018年/英国仕様)
トヨタ・アベンシス・ツーリングスポーツ(3代目/2009〜2018年/英国仕様)

現在の英国の中古車市場で、選択肢が多いアベンシスは1.8Lガソリン。燃費は15.0km/L以上を期待できるものの、少々パワー不足を感じるかもしれない。

Dセグメントのモデルらしく、標準装備は充実していた。ミドルグレードを探せば、17インチ・アルミホイールにカーナビ、エアコンなどは普通に備わる。7エアバッグが標準装備で、安全性にも抜かりはない。

2015年以降のモデルでは、バックカメラを搭載。上級グレードにはアルカンターラ内装にアダプティブLEDヘッドライト、キーレスエントリー・システムなども追加された。

控えめな見た目で、走りは快適。実用性に優れるステーションワゴンは特に、SUVやミニバン一辺倒の時代へ紛れたくないドライバーにとって、今でも価値ある選択肢ではないだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョン・エバンス

    John Evans

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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