フェラーリ譲りのV8エンジンでお別れ マセラティ・ギブリ 334ウルティマへ試乗 限定103台
公開 : 2024.01.09 19:05 更新 : 2024.08.01 10:01
現行ギブリの最後を飾るフェラーリ譲りのV8ツインターボ 熱狂的トライデント信者へ向けた103台限定 音響的な魅力は近年の雄 英国編集部が評価
もくじ
ーV8エンジンを搭載した最後のギブリ
ー5000GTにちなんだ103台限定
ーフェラーリ譲りのV8エンジンを堪能
ー熱狂的トライデント信者のためのギブリ
ーマセラティ・ギブリ 334ウルティマ(欧州仕様)のスペック
V8エンジンを搭載した最後のギブリ
2030年代の前半まで、内燃エンジンとの別れを記念する、特別仕様が数多く発表されるだろう。今回試乗した334ウルティマも、その1台。V8エンジンを搭載した、最後のギブリとなる。加えて現状では、ギブリというモデル自体にも一旦終止符が打たれる。
マセラティがメジャーブランドへ躍り出るべく、競争力の高い上級サルーンをリリースしてから、早いもので10年が経過した。戦略的な価格設定で、ディーゼルエンジンをラインナップしつつ、ライバルほどの成功は掴めてこなかったのだが。
それでも、マセラティの存在感を高めることには貢献した。不足ない数を販売し、トライデント・マークのSUVを、2種類も発売できる素地を作ったといえる。
2021年にはギブリ・トロフェオが追加され、クロスプレーン・クランクとウェットサンプ設計の3.8L V8ツインターボエンジンを獲得。基本的にフェラーリのF154型ユニットのショートストローク版といえ、モデル後期の注目度を高めるのに一役買った。
2023年に投入されたのが、この334ウルティマ。数字はもちろん馬力ではなく、最高速度だ。ベントレー・フライングスパー・スピードより1km/h高く、世界最速の4ドアサルーンの1台にノミネートしている。従来のトロフェオより、8km/h向上している。
それを叶えたのは、高性能なタイヤと、カーボンファイバー製スポイラーによる空力の改善。21インチ・アルミホイールも軽量化され、合計で約20kgのダイエットも影響しているはず。
5000GTにちなんだ103台限定
334ウルティマの特徴となるのが、1959年のマセラティ5000GTの色合いへ近づけた、ロイヤル・ブルー塗装。インテリアは、テラコッタ・レザーで仕立てられる。
限定103台の1台であることを示す、記念プレートもあしらわれる。この103台というキリの悪い数字は、5000GTのコードネーム、ティーポ103にちなんでいる。
ただし、運転支援システムの一部は無効になった。電動だったグローブボックスは、手動になった。いずれも、許せる範囲ではないだろうか。
ドライバーの正面には、アナログのメーターが2枚。大きな金属製シフトパドルが、ドライバーの気持ちをくすぐる。インフォテインメント・システムのぎこちない動きや、ワンテンポおくシフトセレクターの反応などは、ドイツ勢に遅れをとる部分だろう。
さて、肝心の走りだが、残念なことに季節は冬。アルプス山脈へ向かったものの、試乗車にはピレリ・ソットゼロというスタッドレスタイヤが履かされていた。最高出力580psを誇る、後輪駆動のサルーンが叶える能力の一端は、確かめられたけれど。
筆者としては、トラディショナルなFRレイアウトを称賛したい。だが、BMW M5やメルセデスAMG Eクラスといったライバルが、四輪駆動へ切り替わった理由も理解している。新しいグラントゥーリズモも、四輪駆動へ生まれ変わった。
画像 フェラーリV8で別れ マセラティ・ギブリ 334ウルティマ 競合クラスのサルーン 最新グラントゥーリズモも 全119枚