英国自動車販売 パンデミック以来最高に 前年比28万台増加、2023年
公開 : 2024.01.05 18:05
・2023年の英国自動車販売は190万台を超え、パンデミック以来の最高水準へ。
・フリート販売が好調で回復を牽引。しかし、個人向け販売は横ばい。
・業界は政府に対し、EV購入のインセンティブ再導入を求めている。
英国の新車販売、パンデミックから回復へ
英国の2023年の自動車販売台数は190万台を超え、パンデミック以来最高となった。
英国自動車工業会(SMMT)の統計によると、30年ぶりの低水準であった2022年の160万台から28万9000台の増加となっている。この伸びはフリート販売(レンタカー向け)の好調によるもので、同分野だけで前年比38.7%増の110万台が登録された。
個人向け販売では、「生活費危機」と高金利が引き続き影響し、成長を鈍らせたため、登録台数は81万8000台と安定を保った。2019年の最高値230万台を17.7%下回った。
にもかかわらず、SMMTのマイク・ホーズ会長は、自動車業界は前年よりも「ずっと自信を持って楽観的に2024年を迎える」と述べ、197万台まで成長すると予測している。
成長の鍵となったのはEVの記録的な普及で、新規登録車の6台に1台を占めた。これは、EVを購入することによる税制上の優遇措置(現物給付税率は少なくとも2025年までわずか2%に据え置かれる)のおかげで、法人やフリート分野が販売を牽引した。
2023年に英国で登録されたEV総数31万5000台(2022年比5万台増)のうち、24万2235台がフリート向けで、個人向けはわずか8.9%にとどまった。過去、2020年と2021年のEV販売台数の合計は29万8932台だ。
一方、ハイブリッド車は2023年に27.1%の伸びを記録し、市場シェアは12.6%に達した。プラグイン・ハイブリッド車は39.3%増で市場シェア7.4%となった。
また、スーパーミニ(Bセグ車)は29.8%(約8万6000台)、SUVは28.6%(8万2000台)を占めた。フォード・プーマのようなクロスオーバー車も好調で、28.3%(8万1000台)となっている。これら3つのセグメントは2013年以来、最も人気が高い。
こうした結果を受け、SMMTのマイク・ホーズ会長は次のようにコメントしている。
「供給の課題が薄れ、新車市場はパンデミック(世界的大流行)以来最高の年を迎えています。特に最新EVへのフリート投資によって活気づいており、2024年の課題はグリーンな回復を実現することです」
EVの付加価値税半減を求める声
自動車業界の支援を受けるSMMTは、消費者の需要が横ばいになっていることを受け、個人購入者に対するEV優遇措置の再導入を英国政府に再度求めている。
英国は現在、欧州の主要諸国で唯一、EVに対する企業以外の購入インセンティブがない中で、新しいZEV(ゼロ・エミッション車)義務化によって最低販売目標が義務付けられている。
そのため、SMMTは政府に対し、新車のEVの付加価値税を3年間半額にし、購入コストを下げるよう望んでいる。このインセンティブは現在企業が受けているものと同程度である。
マイク・ホーズ会長によると、この優遇措置によって3年間に25万台の増加が見込めるという。
SMMTは声明で、「より多くのドライバーが、既存のガソリン車やディーゼル車を新しいゼロ・エミッション車にアップグレードするだろう。また、中古EVの将来的な供給を拡大し、充電ポイント展開への投資をより説得力のあるものにする」と述べた。
マイク・ホーズ会長は、「政府は、世界で最も大胆な移行スケジュールで英国の自動車セクターに挑戦し、EVのリーダーとなるよう投資しています。英国を欧州におけるZEV主要市場にするためには、消費者インセンティブによって全ドライバーがこの未来を購入できるようにしなければなりません」と述べた。