F1、WRC、ル・マン… 怒涛の2023年を振り返る モータースポーツ特集

公開 : 2024.01.05 18:25

世界ラリー選手権

世界チャンピオン:カッレ・ロバンペラ(トヨタ・ガズー・レーシングWRT) – WRCは彼の意のまま。

2023年、カッレ・ロバンペラは調子をつかむのに時間がかかった。前シーズンはわずか22歳で6勝を挙げ、WRC最年少チャンピオンに輝いた。

カッレ・ロバンペラは、かのユハ・カンクネンのようだと語られた。
カッレ・ロバンペラは、かのユハ・カンクネンのようだと語られた。

しかし今回は、トヨタのチームメイトで8度のチャンピオンに輝いたセバスチャン・オジェの影に隠れてしまった。38歳のオジェは、ラリーにはパートタイムでしか参加しないと話していたのだが。

それでも、オジェはセバスチャン・ローブの9度目のタイトル獲得に抵抗していたため、ロバンペラが自分のリズムをつかむのは時間の問題だと感じられた。シリーズ第5戦ポルトガルGPで今季初優勝を飾ったように。その後2勝を挙げただけだが、トップの座を譲ることはなかった。

ロバンペラの2年連続タイトル獲得に大きく貢献したのは、すべてのステージで灼熱のごとき速さを発揮することよりも、一貫性を保つことの必要性を理解した彼の成熟度だった。

ロバンペラが1戦を残してタイトルを決めたことを受け、トヨタチームの代表、ヤリ=マッティ・ラトバラは偉大なユハ・カンクネンを引き合いに出し、彼の勝利を称えた。

エルフィン・エヴァンスは、ロバンペラを視界にとらえる唯一のドライバーとして浮上し、ティエリー・ヌービルはヒョンデの一流ドライバーであり続けた。オィット・タナクはMスポーツ・フォードのドライバーとしてスウェーデンで勝利をつかんだが、マシンの信頼性に苛まれた。

しかし、2023年のWRCには暗い影が重くのしかかっていた。アイルランド出身のクレイグ・ブリーンがクロアチアでのテスト中に不慮の事故で亡くなり、結束の固いラリー界に大きな衝撃を与えたのだ。モータースポーツの安全性がかつてないほど高まったとはいえ、最悪の事態はまだ起きているし、これからも起こりうる。彼の死は、そのことをはっきりと認識させた。

英国ツーリングカー選手権

スタードライバー:アシュリー・サットン – まだ30歳手前。ジェイソン・プラトンの97勝記録も決して安泰ではない。

30選12勝、20回の表彰台。これは、BTCCの支配に限りなく近いものであり、同シリーズの代表であるアラン・ゴウが望むところでもあった。

1994年生まれのアシュリー・サットンがBTCCを席巻している。
1994年生まれのアシュリー・サットンがBTCCを席巻している。

NAPAレーシングのフォード・フォーカスSTを駆り、史上最多となる4度目の栄冠を手にしたアッシュ(愛称)の名人芸は、英国最高峰のモーターレース・シリーズを陳腐化させるものでは決してない。

ハイブリッド時代2年目のBTCCは、間違いなく世界のどのシリーズよりも、最高のコストパフォーマンスを実現した。

チャンピオンのトム・イングラムは、サットンを最終戦のブランズハッチまで追い詰めたが、王座を明け渡すことになった。ジェイク・ヒルは勝利の笑みを浮かべながらBMWの攻勢をリードし、コリン・ターキントンを退けた。

また、ジョシュ・クック、ダン・カミッシュ、ダン・ロウボトムといった面々は、深く勇気づけられる強さを発揮した。この10年は、BTCCの新たな王者を追いかけることになるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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