50万km走行で「劣化」はわずか5% VW、全固体電池のテスト公表
公開 : 2024.01.07 18:05
・VWグループ、新開発の全固体電池のテスト結果「心強い」。
・約50万km走行後、蓄電容量の低下は5%に抑えられた。
・従来型より航続距離が長く、劣化しづらい。
劣化しづらい次世代バッテリー
フォルクスワーゲン・グループは、パートナー企業であるクアンタムスケープ(QuantumScape)社と共同開発した全固体電池セルのテスト結果を発表した。従来型のリチウムイオンバッテリーより航続距離が長く、劣化も大幅に抑えられているという。
ドイツで実施されたテストでは、充放電サイクルを1000回以上繰り返した。これは航続距離500~600kmのEVの場合で約50万km走行に匹敵するもので、その後のセルの蓄電容量低下は5%であった。
フォルクスワーゲン・グループのバッテリー部門PowerCo社によると、現在の業界標準では、充放電サイクルは700回、蓄電容量低下は最大20%であることが求められるという。今回のテスト結果は、これを大きく上回るものだ。
同社は声明で、新しい全固体電池セルは急速充電能力、安全性、自然放電といった他のテスト要件も満たしたと述べた。
PowerCo社のフランク・ブローム最高経営責任者(CEO)は、「これは非常に心強い結果です。最終的な成果として、長距離走行と超急速充電が可能で、実質的に老朽化しないバッテリーセルができるかもしれません」と述べている。
全固体電池は、引火の危険性が指摘されるリチウムイオンバッテリーの液体電解質とセパレーターを、セラミックやポリマー、またはガラス製の固体セパレーターに切り替えたものだ。
フォルクスワーゲン・グループは2010年以来、クアンタムスケープ社と全固体電池技術の開発に取り組んできた。2012年には同社に1億ドルを投資し、筆頭株主となった。それ以来、EVの性能向上と低価格化を目指し、さらに2億ドルの追加投資を行っている。