オーセンティックカーズの小松です。

今回比較するディテールは「ドア」。エリーゼS1とS2では当然ながらデザインが異なるので見た目が違うのは当たり前なのですが、実は重要なのは裏側なのです。S1のドアはパワーウィンドウもドアスピーカーも、一切の余分なものは取りつけられることが考慮されていません。その証拠に、ドアヒンジ部分を見ると非常にスッキリとしています。

一方、S2は設計段階からそれらの電装品を取りつけることが考慮されているので、ヒンジの下に穴が開いていてゴムのグロメットで塞がれているのです。

そして写真には写っていませんが、ドアを開けて車内に乗り込むための開口部の大きさも異なります。S1は太いサイドシルがストレートに立ちふさがっていて、開口部が狭く、乗り降りにコツが必要です。S2は開口部を広げて乗降性を向上させるためにサイドシルが一部切り欠かれています。

そういったこともあり、フレームの剛性はS1の方が勝っているのですが、エリーゼが持つ、そもそものフレーム剛性が、その車重やエンジン、タイヤサイズに対して、過剰すぎるほどの余裕を持っていますので、このように利便性を高めるためにそのマージンを少し削ったところで、実際の走りへの影響はほとんど見られないのです。

ただ純粋にライトウエイト・スポーツとしての理想を追求したS1。その優れたポテンシャルを維持しつつも、使い勝手や市場の声を考慮する方向で進化したS2。そのどちらもが正しくロータス･エリーゼなのです。