東京タワーと356Aと1958年
佐藤自動車工業所の佐藤です。
1958年といえば東京タワーが完成したばかりの頃。懐かしく思い出されるのは下町・亀戸駅前の大好きだった亀戸デパート。いつも大繁盛で列を作って並んだ階段下のデパート食堂ではラーメンは25円、チャーシューメンは50円。にぎり寿司も50円で注文できるので、大好物はラーメンと寿司で75円。特別なお出かけの時だけ食べられるので、ホントにおいしかった?
一方、356Aといえば57年春の大改造で生産台数は減少していて、クーペの台数だけですが、56年式で3310台あったのが57年式(9月まで)は2472台となっています。356Aでは多くが1958年以後で残っていますが、この年は生産台数も多く、クーペでは3670台となって356Aの生産台数では一番の当たり年なのです。
同時にエンジンの改良途中のため、(ポルシェの珍しい失敗で)有名な「オイルコントロールバルブ」が採用された年でもあります。写真は当社の在庫エンジンで58年式1600スーパーです。
プーリーの左に丸い筒が見えますが、この中にサーモスタットを組み込み、57年から採用のダブル・コントロールバルブで油圧を安定させる、当時最新のオイル温度制御を組み込んだエンジンでした。丸い筒の影に写っているのが油圧ラインで、パイプ外付けの珍しいタイプです。
残念ながらサーモスタットは水冷エンジンでおなじみのように「必ず壊れる」のですが、その壊れ方によっては356の高価なエンジン本体をバラバラにさせる危険が発生したため、58年式モデルの1年限りで廃止されたシステムでした。直後にポルシェ社ではサーモスタットも販売がなくなり、修理もできません。
とはいえ、去年バラしたエンジンは、このサーモスタットがちゃんと動いていたので、50年以上も作動する耐久性に、わたしゃ相当に驚いたものです。 (^_^)/~~
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