206RC クラッチ交換のついでにリジカラの検証も
レッドポイントの赤座です。
プジョー206シリーズはクラッチ交換に伴うトランスミッションの取り外しは、クロスメンバーを取り外したほうが作業性が良いため、メンバーを降ろして作業を行います。
フレームを外した状態ならば、今はやりの「リジカラ」「パフォーマンスカラー」の組み付けが楽に行えるので、同時装着をオススメします。装着する車輌の性格により体感に変化は出ますが、どの車輌に組み付けを行なっても良い結果が出ています。サスペンションがきちんと仕事をするのがドライバーにしっかりと伝わってきます。「バタバタ!」「ガタガタ!」「フワフワ」が「トンッ」「ストンッ」といった落ち着きの増した乗り心地に変化します。ダンパーの交換のみでは成し得ない結果をもたらす、そんなパーツなのです。ですから、ショックアブソーバが元気な車であれば、カラーの組み付けのみでも十分にその効果に納得できると思います。ショックアブソーバの状態は、BOSCH SDLテスト によりその良否判定が可能です。
良い機会ですので、クロスメンバーが外れた状態で、カラーがどの様に装着されるのか?を検証したいと思います。左右のロワアームもこの機会に交換します。206のロワアームはボールジョイントやピロボール部にガタが出やすいので、距離を重ねた車は交換をおすすめします。206用のリジカラは、左右で合計8枚のカラーを組み付けます。メンバーにはボルトサイズより一回り大きいサイズの穴が空いているのでカラーを挟み込むことにより穴のサイズが適正化され、ボディとの当たり面を均一化する働きがあります。同梱されるリジカラグリスにより、締め付ける際の馴染みを補助すると共に酸化防止・腐食防止といった効果もあります。
隙間を埋め、それぞれの接合面に馴染みの良いカラーを介すことで、面で当たる様になります。それにより、各部の取り付け強度が向上し、たわみ・上下動を抑制するのです。その結果、タイヤを通して伝わるサスペンションの動きを、性格にボディへと伝える様になります。ドライバーは乗り心地の向上と、ステアリングフィールの向上を体感出来る、という仕組みです。
当社ではリジカラ・パフォーマンスカラーの装着と合わせて 4輪トータルアライメントの測定・調整 を必ずセットで行ないます。カラー装着の際に生じるズレの補正と、元々の不具合箇所を同時に修正する為です。今回のアライメント結果は以下の様になりました。
簡易的にトゥ値を測定する事との大きな違いは、トータル・トゥが左右均等な数値から成されているのか?です。上図の作業前のリヤ側で説明します。トータル・トゥは 3.4ミリ この値は正常です。しかし、その実態は…左リヤ:4.7ミリ 右リヤ:-1.3ミリ右リヤはトーアウトを向いています。コーナリングの際にも左旋回時と右旋回時で強いクセを露骨に体感する事になります。その結果、作業前のスラストアングルは大きく右を向いてしまっています。
フロントのトゥも酷いですね。左右均等ではありますが、物凄くトゥ イン です。ステアリングレスポンスが悪そうなデータです。
前後共に好き放題な角度を向いていますので、タイヤの偏磨耗・燃費の悪化が予想されます。
結果、この206は直進安定性が非常に悪く、ドライバーの思いとは裏腹な動きをする、といえます。
スラストアングルがプラス方向への数値ですので左右リヤタイヤは右を向き、平らな路面を走行すると車は自然と左流れを誘発し、常にハンドルを支えた状態で走る事を余儀なくされます。
ステアリングをあてても、素直に車が向きを変えようとはせず、交差点などの舵角が大きくなる様な状況ではある一定の舵角を越えると、勝手にハンドルが切り込んでいってしまう、という不自然な動きをするはずです。
リジカラを組んだからこの様なデータになるという意味ではありません。また、クロスメンバーを外したから、という理由でもありません。
この206が持つ不具合であったのですね。良い機会にアライメント補正を行なう事ができました。テレビCMでもアライメントの言葉が飛び交うこのご時世ですので、瞬く間にその言葉が一般的に普及しました。一口にアライメント作業と言っても、その車固体に関するセッティングノウハウや、調整技術これらが融合してこそ良い結果を織り成すと私どもは考えます。
ラテン車にお乗りで、足回りのトータルメンテナンスを考案中の方は、ご相談をお待ちしています。