メッツスピードの鞍貫です。

さて本年1発目の記事ですが、珍しいポルシェの作業をしています。1989年製930スピードスター・ファクトリー・ターボルックの幌交換をしています。

930のスピードスターは1989年最終1年のみの生産で、大変珍しい車種に重ねてファクトリーターボルックと言う更に珍しい希少車です。流石に25年経過の幌は痛みが酷く、1オーナー車で一度も幌の交換歴がない固体で幌はボロボロでした。経年劣化で硬化し、幌自体が一回り小さくなっていました。幌サイドを固定するボタンはとまらなくなり、めくれてしまい、これではスピードスターのモダンな雰囲気が台無しになってしまいますね。そこでオーナー様も今回交換に踏み切った経緯になります。

通常旧車の幌は社外品を使用して修理する事が多いのですが、これには新品純正部品の価格高騰や新品純正部品の生産終了など様々な理由があります。が、今回ナント純正の新品部品がポルシェから出るとの事!オーナー様も折角交換するならば純正でとの御依頼もありましたので純正部品での交換となりました。930以降、964でもスピードスターのリリースはありましたが、幌自体は別物。と、考えると希少車にも関わらず25年経過した車種にキチンと部品を生産、供給しているのですね。流石はポルシェ、頭が下がります。

新品幌のファブリック自体は大きな変更なく所謂ジャーマンファブリック、縫い糸は変更され25年前は白いステッチが現行は黒ステッチ。リヤスクリーンなども恐らく材料は変更されているとは思いますが、めだって変更点を見つけられない感じの仕上がりでした。当時の雰囲気が崩れない、流石の純正品です。

幌を開けている印象が強いスピードスターですが、閉めた時のモダンな雰囲気も上品で一興ですよ。