ナローポルシェと8トラ
カトー・オートテクノロジーの加藤です。
こちらのポルシェ911はオーナー様からのご依頼で懐かしい8トラック式のカーステレオを取り付けました。
そもそもはオーナー様が当時のデッドストックなのか新品の8トラデッキを入手したということでのご依頼でした。しかし、いくら新品とはいえ何十年も前に生産された機械です。内部の駆動ベルトやゴム製ローラーなどは経年劣化していますので、専門家に依頼して分解してオーバーホールを実施。AM・FMラジオも含めて完動する状態にしました。
そしてこのデッキのテストを行うためには再生するカートリッジが必要だったのですが、今さら8トラのソフトが簡単に入手できるはずもなく、探し回ってようやく手に入れたのがいにしえのカラオケテープでした。もちろんこのテープもそのままデッキにかけると切れたり巻き込まれたりする危険がありましたので、レストアを実施、内部のピンチローラーやエンドレスになっているテープの繋ぎ部分などを修復しました。
そして少し思案したのがデッキの取り付け方。ナローポルシェには当然ながらDINサイズのセンターコンソールなどはありませんし、そもそもこのデッキ自体がDINサイズでもなく、重量もかなりのもの。取り付け可能な場所も限られるのですが、できるだけ当時の雰囲気を出したかったので、このようにダッシュ下につり下げるスタイルに落ち着きました。どうです、“昭和”っぽいでしょ?
スピーカーの場所も悩みどころでした。このクルマには元々AMラジオが備わっていますが、純正スピーカーに8トラの出力を割り込ませるのもどうにもウマくない。だからといってドアにスピーカーボックスを作り付けるのも、オリジナルの内装を傷つけてしまうことになるので避けたい。で、ダッシュ裏側にサテライトスピーカーを仕込んでみたのですが、これだと乗員から新設したスピーカーが目に入らないですし、性能的にも充分! 8トラデッキとの音の相性も良く、なんとも懐かしい雰囲気で音楽やラジオを奏でてくれます。