AW11型トヨタMR2フロントパイプの排気漏れ エキマニのスタッドボルトが折れ、もう後戻りはできず・・・
羽鳥鈑金塗装工業所の羽鳥です。
サビの修理を承った、AW11型トヨタMR2。
お預かりする際に、「このクルマ、なにか排気漏れしていませんか?」と気付いた私。
お客様は「そうですか?」といった感じでしたが、リフトに上げて点検してみると、
フロントパイプの蛇腹メッシュ部分から排気漏れしているようです。
そもそも排気漏れしていた部分に耐熱バンテージなどを撒いて、上手い具合に
簡易修理されてたようですが、バンテージ固定用のワイヤーが切れて
バンテージが破損、排気漏れを起こしていました。
蛇腹部分以外もかなりサビでやられているマフラー。
タイミング良くフロントパイプの社外品の生産があるということで
お客様とも相談して新品に交換することになりました。
部品も発注し、まずは旧いマフラーを取り外すのですが、
ご覧の通り、もはやどこがネジでどこがマフラーだか
わからないほどにサビが進行してしまっています。
一筋縄ではいかない感じが漂っていますが、
ここはいつもの強い味方、ミニインダクターを使って簡単に進むのか・・・
どう見ても「緩むのか?」って色のネジですが・・・
ミニインダクターで固着したネジを遠赤外線で局所的に加熱すると、
サビ付いて一体化していた様なネジも、あ〜ら不思議と簡単に緩みます。
こうして、1本ずつ折らないように注意しながら、ネジを緩めていきます。
リアマフラーは無事に外れたものの、フロント側のネジを外しにかかると、
フロントパイプとエキゾーストマニホールドを固定しているスタッドボルトの
3本の内の1本が折れてしまいました!
無事に(?)フロントパイプは外れましたが、果たして新品を取り付けることができるのか?
調子よく進んでいたので、「こんな簡単でもいいの?」と思っていたところでコレです。
しかもこのスタッドボルト、妙に硬い。折れたボルトの断面をみると、ステンレスかな? という感じだし・・・
コレ、外せる? 大丈夫?
などといっても、もはやここまでやってしまっているので、もう後戻りはできません。
ということで作業続行。
まずは不要なネジの頭をカットして・・・カットできたのでステンではなくスチールでした。
その後はドリルでボルトのセンターにドリルで地道に穴を開けていきます。
ボルトに焼きが入ってしまっているのか、ドリルを進めていく感触に
硬い部分と柔らかい部分があるので、あまりドリルで熱を加えないように慎重に・・・
「ドリルで穴を開けるだけでしょ?」と言われそうですが、力ずくで穴を開けようとすると
この折れたネジ部が熱を持つ→鉄が焼き入れられる→鉄が硬くなる→ドリルの刃が効かなくなる
→無理やり押しつけ更に熱を持つ→一向に穴が開かない→ドリルの刃がダメになるかドリルの刃を折る・・・
という悪循環に繋がるので、上手い力具合で「おいしい」力加減で穴を広げていく必要があります。
最初は細いドリルからはじめ、徐々に大径のドリルへと・・・
ある程度大きな穴になったら、いちかばちか逆タップをかけて回してみます。
今は亡き父が遺してくれたタップ類が入った箱!・・・なんてのも大げさですが、
この箱、こちらも今は懐かしい“ダイオー”で買ったものですね(横浜限定ネタですね)。
決して高価な工具ではないですが、こうして分別して工具を保管しておくのが
好きだった父の愛用品たちです。
そこから逆タップを取り出して・・・
果たして、緩むのか?
バキッという音と共に・・・緩んでくれました! 救われた!!
これで緩まないと、更なるドツボにハマるところでした。
まぁ、その時はその時で上手いことやりますが・・・
その後は、順ネジのタップを使って、ネジ山を立て直していきます。
何せ、年数が経過しているクルマだけに、熱の加わるマフラー部のネジは
普通に外すだけでもネジ山が痛んでいるので、神経を使いますね。
折れたネジも無事に外れ、なんとか問題は回避できましたが、
これで万一、エキマニをダメにしてしまったら、「部品はあるのか?」という
問題になってしまいます。
「旧いからダメでした。部品もないんであきらめてください」とお客様に伝えて済むだろうか?
たかが「折れたネジ1本」ですが、その1本の役目が大事な場所だったりすると・・・
リスクを考えるとやるべきではない作業ですが、やってしまうんですよね、こうして成功しちゃうと。
新しいスタッドボルトが届いていたので、組み付けに入ります。
いや〜、本当に無事ネジが復活してよかった・・・
コレ、折れたボルトが抜けなかったり、抜けても穴が大きくなりすぎて
サイズが変わってしまうとまた面倒なことになっていましたからね・・・
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