追突事故後、アライメント調整で復活
こんにちは、羽鳥鈑金塗装工業所のハトリです。
昨年にブレーキ交換のご依頼をいただいていたお客様。
作業日直前に運悪く追突事故に遭ってしまい、一旦棚上げに。
保険の関係でディーラーに入庫したたものの、足まわりの損傷状態が酷く
メーカー側は『修理できないかも・・・』とのこと。
その後、事故から2ヶ月ほどが経過し、二転三転ありながらも
ディーラーでの修理は完了。しかしクルマはまっすぐ走らなくなり、
お客様もご納得できない様子・・・。
そんな中、車検の時期がやってきたので、車検整備や件のブレーキ作業や
なんたらかんたらのご依頼をいただきました・・・というのが前回までのお話。
で、さっそくクルマをお預かりして点検整備の後に車検を取得。
「まっすぐ走らない」原因の究明に着手します。
お客様曰く「ディーラーで各部調整し『普通では行わないような調整方法で特別にできる限り直した』
らしいのだけれど、クルマは左に流れがち。でも『これ以上は直らない』と言われ、
そんなもんなのかな、と・・・」
確かにクルマを引き取りにいった帰り道、直線でハンドルを離すと左に流れていく・・・
こりゃ乗り辛いな。異常ありの様子。 事故との因果関係はわからないものの、
該当箇所を確認が必要だなと感じました。
まずは4輪アライメントテスターに乗せて測定してみます。
弊社ではイヤサカさんのハンターというアライメントテスターを使ってます。
ここで気にするのは「トゥ(トー)」の数値だ。
左前のトゥ0.29で右後ろが0.27、この2箇所の狂いが気になる。
同時に追突された後部を確認すると、損傷は?って感じ。
お客様からの話では、修復できるかどうか? というぐらいの大ダメージかという印象でしたが
実際見てみると、確かに修復されているけど、はっきり言って軽い損傷。
こりゃフレームにはダメージはなさそうだぞ、といった状況です。
現状を確認しながら調整を始めます。
作業中に気になったのが左前側のトゥを調整するタイロッド部分。
ふむふむ・・・
左前輪のトゥ調整ネジ山の部分に色の違いが見えるので、このあたりを調整されたんだと思いますが、
コレだと数値がまったく合ってないぞ? ここのネジ部を適正にすれば、まっすぐ走るように調整できる部分なんですが・・・
右前輪の調整部も調整しようとタイロッドを見ると
黄色いマーキングのような線が引かれ、「2」って書いてあるのかな?
2回転回したということなのか、なんだろう?
よく見りゃ左前輪部も調整のあと。
確かに調整時にこうして「何回転動かしたか」を確認するために
ロッドに線を引いて確認するという方法はあるが、当社ではそんなことはしない。
なぜなら、感覚ではなく数値で調整するから。
「感覚で調整して実際走ってお客を納得させる」というのが職人だとも言えるが
わたしには残念ながらそんな勘やテクはないので、数値で追い込む・・・
で、調整を済ませ
フロントトゥを基準値の0.07に左右をセット
リアトゥは基準値の0.19に左右をセット
肝心なのはリアのトゥを調整するということなんですが
リアの数値を調整をするには
このテスターがないと普通は触れない。となるとフロントの調整だけで
なんとか帳尻を合わせようとするワケだが、クルマはそんなに簡単なモノじゃない
今回のケースではリアのトゥもキチンと調整してあげないと、まっすぐには走らない
というか、リアも調整できるクルマでは4輪とも調整してこその4輪アライメントだ。
テスターのメーカーさんには足を向けて寝られない。
で、このベンツ、見た感じではリアのトゥは手つかずのよう。
調整部にスパナを掛けた跡もなければ、マーキングも無い。
人間で言えば、歩くのに足ばかり気にして、手を振って歩いていないといった感じか。
健康に歩くには手を前後に振りますよね。でも、足だけでも歩けるといえば歩ける。そんな感じです。
前後4輪とも調整を行い、数値をキッチリ出して試乗・・・
問題なし
完成し、お客様に納車。
こうして適正にアライメントを取れば
データ表が印刷されるわけで、それをもらっていないということはフロントトゥだけ調整されたのかもしれません。
ベンツですが、4輪アライメントを普通に調整して無事に復活。
作業後に試走したら「直った〜まっすぐ走る〜」と妙に感動してしまうほどに安定して走るようになりました。
私ですらこれほど喜ぶほどに良くなったのだから、お客様にも絶対喜んでいただけるはずと確信しました。
で、
納車後、お客様からも「元に戻ったわ〜 これでまた乗れるのね。嬉しい!」と言っていただけました。
ディーラーでの修理完了後から数ヶ月、このハンドルの件でお客様の
このクルマに乗るモチベーションは下がっていたことだろう。
もちろん、どうしても直らないということもあるのだが、
できる限りは対応してあげたいというのが我々の心情。
今回の件、実はリアの追突事故は損傷としては軽微なもので、フレームまで破損して
修復不能というようなケースではなかった。そして、このアライメントのズレも
事故との因果関係は薄いと思われ、元もと縁石などに当てるなどでアライメントが狂っていたのかもしれません。聞けば、この修理期間中借りていたのは最新モデルだったそうで、それに長い間乗っているうちに
洗練された新車の感覚が身についてしまい、久しぶりに自分のクルマに乗ったら違和感を感じたのではないだろうか。
(実際の事故状況は知らないので断定はできませんが・・・)
結果として、このお客様の個体もまだまだ乗れる元気な子でよかったです。
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