こんにちは、Jスクエアです。
フォルクスワーゲン・ゴルフのABS修理例のご紹介です

ディーラーさんでのお見積もりが60万円を超えてしまったということで
弊社にご相談いただき、来店されることになりました。
　
　

これらの警告灯が点いていました。
　・ABS
　・ESP
　・サイドブレーキランプ
　・ウォッシャーランプ（これはABSには関係ありません）
　

まず、診断機を接続して、入力されている故障コードを確認します。
　・01276 ABSハイドロリックポンプV64電気的故障
上記コードは弊社でオーバーホールできる内容となります。
　
　

この車両のABSユニットはエンジンルームの助手席前、
バッテリーの後ろあたりに装着されています。
　
　

ABSユニットの基板を点検・修理します。
コンデンサ、トランジスタの交換や、ハンダの不具合などの修理を行います。

こちらはABSユニット用のIC専用に設計・製作してもらった特殊機材です。
四角い部分から熱風が出て、周辺に悪影響を与えることなく、
ICのハンダのみをピンポイントで再接着できます。
　
　

さらに油圧ポンプとモーターの修理を行っていきます。
モーターを外すと、隙間からブレーキオイルが出てきました。
普通はモーター内部にオイルが混入することはありません。
オイル漏れの可能性があります。

モーターを分解すると、ブレーキオイルがモーター内部に侵入しており、
モーターのコイルが焼け焦げていました。
これは再使用できないため、交換します。

モーターを取り外すと、ハイドロユニットのシャフトが見えてきます。
この2つのシャフトからブレーキオイルが漏れ出ていました。

このシャフトからブレーキオイルが漏れていました。
通常では漏れが発生するか所ではないのですが、
ブレーキオイルの劣化や汚れ・サビによって漏れてしまうことがあります。

サビていたシャフトをキレイに清掃して組み直します。
シャフト自体は取り外して清掃できますが、シャフトが入る部分には
手が入らないため、サビや汚れが完全に取り除けたか判断ができません。

万一、サビが残っていた場合を考えて、シャフトにサビ止めのグリスを塗ります。

粘度が高く、熱に強いグリスを使用します。
穴の空いている部分はブレーキオイルが通るため、
グリスが付かないように注意します。
　
　

今回のケースではブレーキオイルがABSユニットのモーター内に
侵入していたことで不具合が発生していました。
これはあまりない事例ですね。

そして作業していて気になったのはブレーキオイルの汚れです。

車検ごとにブレーキオイル交換をしていない場合、
シール類の劣化などでオイル漏れが起こることはよくあります。
定期的に交換しているのにオイルの汚れが目立つという場合は
ブレーキオイルの交換が完全にできていない可能性があります。
　
　

　1.ブレーキオイルは2年（車検）ごとに交換する
　2.ブレーキ圧送機を使用し、ブレーキオイルを完全に交換する

フットブレーキを踏んで2人がかりでエア抜きをする方法もありますが
弊社ではブレーキ圧送機を用いてブレーキオイル交換時の
エア抜き作業を行っています。

圧送機を使用すると大きなメリットがあります。
　・作業時にマスターシリンダー内のシール損耗を完全に防止
　→フットブレーキを踏んでエア抜きするとシールに負担が掛かります
　・1-2Lほどの少ないオイル量で全量を完全に交換できる
　→オイル代を節約できます
　・1人で作業できるので作業効率が良い

今回はブレーキオイルの劣化が原因でブレーキオイルがモーター内部に侵入し
ABS故障につながったというレアなケースでした。

ブレーキオイルが劣化すると沸点が下がってしまいます。
そのためブレーキ操作によりブレーキオイルが沸騰しやすくなり、
ブレーキライン内に気泡が発生して、ブレーキが効かなくなる
ベーパーロック現象が起こってしまいます。
そういったトラブルを防ぐためにも、定期的な交換が必要となります。

JスクエアではABS修理の際だけではなく、車検時などにもこの圧送機を使用し、
完全なブレーキオイル交換作業を行っていますので、ご安心ください。