待ちわびた価値はあるか? 「セダン空白時代」に上陸する新型アコードの走りをチェック

公開 : 2024.03.07 11:30  更新 : 2024.03.07 11:55

・発売前のアコードにクローズドコース内で試乗
・好調のスポーツe:HEVがさらにアップデートされて搭載
・スタイルと走り、環境性能を両立 セダン逆風の時代に一石を投じられるか

ホンダのセダン空白時代にやってきたアコード

ホンダはカーボンニュートラルの実現に向け、2030年までにグローバル市場で30種類の電気自動車(BEV)を発売すると発表している。そして日本国内市場においては、同じく2030年までに新車ラインナップのすべてを同社がe:HEVと呼称するハイブリッド車、およびBEVとする方針も掲げている。

実際にいまのホンダの新車ラインナップでガソリンエンジンのみを搭載するのは、新型SUVのWR-Vと、シビック タイプRの2台。そして同様に印象的なのは、セダンが1台も存在していないことだ。

ホンダ・アコード
ホンダ・アコード    本田技研工業

そんななか、ホンダはミドルサイズの4ドアセダン、アコードの新型モデルを2024年春に日本市場へ導入する。通算11代目となる新型アコードは、北米、中国、タイの工場にて生産されており、日本仕様も先代と同様にタイからやってくる。パワーユニットは2Lのエンジンに2モーターを組み合わせ、e:HEVと名付けられたハイブリッドで、グレード展開も先代と同様に1種類のみとなる。

この新型アコードの日本市場導入に先駆けて、ホンダが「スポーツe:HEV」と呼ぶシビックe:HEV、ZR-V e:HEV、そして新型アコードの3台を、静岡県の伊豆サイクルスポーツセンターを舞台に試乗するメディア向けのワークショップが開催された。

伸びやかなスタイリングに好調のe:HEVシステムを搭載

新型アコードのボディサイズは、北米仕様で全長4970×全幅1860×全高1450mm、ホイールベースは2830mmと堂々たるもの。先代モデルに比べて全長が70mm延長されているが、全幅や全高、ホイールベースは変わりない。基本シャシーをキャリーオーバーしつつ、パワーユニットやスタイリング面において刷新を図ったということだ。

外観は低く長いフロントノーズや、ボディサイドのプレスラインを少なくしたことで、若々しさを感じさせるデザインとされた。70mm延長された全長は、ほぼフロントオーバーハング部分の延長に充てられたと思われ、真横からのシルエットは4ドアクーペとも呼べるシルエットだ。

新型と先代のアコード
新型と先代のアコード    本田技研工業

そのフロントフード下に搭載されるのは、先代と同じく2リッターのガソリンエンジンに2つのモーターを組み合わせたハイブリッドシステム「e:HEV」だ。その最大の特徴は、エンジンの役割が走行シーンに応じて変化することにある。

停車時からの発進や街中走行時などの低負荷環境下では、エンジンは停止したままバッテリーの電力により走行用モーターのみで駆動する。高速道路での巡航走行時などは、エンジンと走行用モーターをどちらも駆動にあてて運動性能を発揮する。

新型アコードではその切り替えポイントを最適化することで、爽快なドライブフィールと燃費性能を両立させたという。環境性能を重視したミドルセダンでも、運転して楽しいクルマを追求する姿勢は、このご時世にちょっと嬉しいものだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    佐橋健太郎

    Kentaro Sabashi

    1973年生まれ。立教大学在学中に雑誌編集部のアルバイトを経験、卒業後も魅力が忘れられずに百貨店からネコ・パブリッシングへ転職。デイトナやカー・マガジン、ジェイズ・ティーポなどの編集部に所属し、2013年に独立。季刊誌「Honda Style」の編集長も務める。愛車は2006年式ホンダS2000と1965年式フォード・マスタング・ファストバック。
  • 編集

    香野早汰

    Hayata Kono

    1997年東京生まれ。母が仕事の往復で運転するクルマの助手席で幼少期のほとんどを過ごす。クルマ選びの決め手は速さや音よりも造形と乗り心地。それゆえ同世代の理解者に恵まれないのが悩み。2023年、クルマにまつわる仕事を探すも見つからず。思いもしない偶然が重なりAUTOCAR編集部に出会う。翌日に笹本編集長の面接。「明日から来なさい」「え!」。若さと積極性を武器に、日々勉強中。

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