ポルシェ911ターボが負けた日 英国人の目から見た日産GT-Rの実力 前編
公開 : 2018.01.21 08:10 更新 : 2018.01.21 12:04
デリバリーの始まっていなかった英国に、当時最新のGT-Rを持ち込んでテストするのは、自他ともに認めるポルシェ・ファナティックのクリス・ハリス。 英国上陸第1号のGT-Rを堪能した彼は、ある驚くべき結論を導き出します。「文句なくGT-Rの勝ち」──彼にいったいなにが起こったのか? AUTOCAR JAPAN2008年6月号よりの再録です。
もくじ
前編
ー スカイラインはポルシェよりも先に到着した……
ー ケータイ的に浸透したテクノロジー
ー デカい でも、狭い
ー ハーシュ ドコドコ カタい
ー いるか? いらぬか? コンフォート
ー まず触れるべきアソコのありえなさ
後編
ー しなやかで一体感を味わえる911
ー 速さの源はトランスミッション
ー 技術の新旧だけではない違い
ー 質感でも高いGT-Rの満足度
ー もしも2台の価格が同じなら
ー 議論の余地なく結論へ
スカイラインはポルシェよりも先に到着した……
って文字どおりね。早かったという意味。速かった、ではなくて。もちろん。天候セッティングはファイン。バークシャーいちゴキゲンなA級路にはどうやら他車の影もなく、ということはポルシェの姿も全然見えない。これっぽっちも。
ということで、オーナーの許可が出てるので僕はのんびりと走り出す。のんびりと。うーんイイ。スピード欲なしにドライブする状態をこれほどバッチリ説明できてる言葉はない。システムチェック。それとクルマに慣熟するための時間。
スカイラインの場合、そういうのんびり走行に費やす必要のある時間は、これまでに乗ったことのある速いクルマのどれと比べても短い。いちばん。この日、このクルマに関して僕がわかったこと──そのほとんどはすげえことばかりだったけれど──のなかで、おそらくこれがいちばん重要だった。
なぜって、僕らみんなが望んでいたとおり、R35スカイライン(じゃなくてニッサンGT-Rだと日産がいうからそれには従うつもりだけど、エンスージァストにとってはいつだってコイツはスカイラインだ)は欧州を代表するスーパー高性能クーペにとっての深刻な脅威たらんとしているクルマだから。前までのGT-Rはその点まだ時期尚早だったというか未熟だったけど、でも今度のはワケが違う。