イシゴニス賞 豊田章男(トヨタ自動車CEO) AUTOCARアワード2018
公開 : 2018.05.26 11:40
欧州の自動車産業界の健全性、卓越性、競合性に誰よりも貢献したことにより、2018年のイシゴニス賞受賞者は豊田章男・トヨタ自動車社長です。にこやかで物腰が柔らかい中にも強さを秘めた豊田社長に、スティーブ・クロプリーが話を伺いました。
もくじ
ー 「予期せぬ加速」を乗り切って
ー GAZOO Racingを立ち上げ
ー 「もっといいクルマ」の追求
ー 将来のことはわからない
ー 62歳、まだまだ「若造」
ー 豊田章男と会って
「予期せぬ加速」を乗り切って
トヨタのCEOを9年務めている豊田章男が2018年のAUTOCARアワード2018「イシゴニス賞」の受賞者だ。ここまで社長を続けてきた理由は、2009年、彼が社長を引き継いで数週間後に米国市場で直面した深刻な「予期せぬ加速」問題のためだったと彼は考えている。
トヨタ・グループの有名な創業者、豊田喜一郎の孫にあたる豊田さんは、この危機で世界中のプレスの場で何度もさらし者にされ、米国の議会公聴会に引きずり出されてはよくわかっていない政治家にトヨタ車が「安全でない」理由を何度も説明させられた。社内の重鎮が新米のリーダーを社長の器だと認めてくれたのは、この危機を乗り切ったからだと彼は信じている。
以来、彼は何度もそのことを証明している。豊田は卓越したリーダーシップとクルマに対する愛情で世界的に有名になった。社内にも至るところに彼の信奉者がいる。彼の主導でトヨタ、レクサス、ダイハツは自らの立ち位置を見直し、グループ内の各ブランドの位置づけを明確化した。2012年のトヨタGT86に始まる、もっとずっと魅力的な一連のモデルを作る勇気もこうして生まれたのだ。これらのブランドから、さらに「エモーショナルな」クルマも登場するだろう。
豊田は、少なくとも公正な裁判の場においては、悪意がまったくないことで多大な尊敬を得た。社長就任から数年経って、適切な技術的調査が行われた結果、世間を騒がせたトヨタ「スキャンダル」は結局、メーカーの瑕疵ではなくて扇動的な最初の報告書のせいだったことが判明した。