回顧録 比較試乗 911カレラ vs GT2 RS 価格差2倍の差は?
公開 : 2019.01.23 10:40 更新 : 2019.01.24 11:39
500台のみ限定発売されたポルシェ911(997型)の最高峰、GT2 RS。ボトムモデルであるカレラの実に2.5倍のプライスタグをさげた620psのモンスターは、その価格に値するのでしょうか? カレラと乗り比べて真価を見極めてみました。
もくじ
ー 本気になったポルシェ
ー 価格差を正当化できるか
ー 高過給圧の圧倒的トルク
ー トラクションがやや不足
ー 共通の個性は薄い
ー 驚くべき速さのGT2 RS
ー ブレーキの耐久性にも差
ー ベストバイではないが魅力的
本気になったポルシェ
(AUTOCAR JAPAN誌97号の再録)
ポルシェを本気にさせるとこうなるのだ。GT2 RSはそういう実例である。誰か(つまり日産だが)が自社のGT-Rはニュルブルクリングのラップタイムでポルシェ997 GT2よりも速いと公表した。それを聞いたわたしは早速、率直な物言いで知られるポルシェのGTカー担当主任のアンドレアス・プロイニンガーに少々意地悪な口調で質問をしたのだが、彼の答えは「必ず挽回する」のひと言だった。
それから18カ月の開発期間を経てついに提示された回答──それが目の前にある邦貨換算約3000万円のGT2 RSである。620psの最高出力は、公道走行可能な911としてはもちろん史上最高だ。カレラGTや公道仕様のGT1に比べても圧倒的と言っていい。
もっともわれわれは、ポルシェが公称するニュルでのラップタイム(ご興味の方にはお知らせしておくが7分18秒で、つまりRSはノーマルのGT2より14秒速いことになる)を検証するために、わざわざドイツまで出向いたりはしていない。
ここは雨に湿ったわれらが本拠地の英国であり、今回の目的は3つの疑問に答えを出すことだ。第1にGT2 RSの性能が現実世界で行使可能なものなのかの確認、第2に911の基本レシピに比べてこのクルマがどこまで進化しているのかについての検証である。