ロードテスト ジープ・ラングラー ★★★★★★★★☆☆
公開 : 2019.04.21 09:50
軍用車両から生まれたオフローダーの系譜に連なるジープ・ラングラー、その第4世代が英国市場にも上陸しました。一般的なSUVとは一線を画するオフロード性能は言うまでもありませんが、この新型では使い勝手や質感も向上していました。
もくじ
ーはじめに
ー意匠と技術 ★★★★★★★★★☆
ー内装 ★★★★★★★☆☆☆
ー走り ★★★★★★★★☆☆
ー使い勝手 ★★★★★★☆☆☆☆
ー操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆
ー快適性/静粛性 ★★★★★★★☆☆☆
ー購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆
ースペック
ー結論 ★★★★★★★★☆☆
はじめに
ジープの歴史は、79年前に始まった。ちょうど、エンツォ・フェラーリとアルファロメオが決定的に袂を分かった頃だ。当時のアメリカ陸軍省は、広がりつつある欧州戦線での任務に供するべく、頑丈な偵察車両の開発を自動車メーカー各社へ依頼しようとした。130社以上へその要件が伝えられたが、これに応じたのはウィリス・オーバーランドとアメリカン・バンタムの2社のみ。基本設計が採用されたのはバンタムのBRC40だったが、それをもとにしたウィリスの改良案であるMBが制式採用される。それはまさしくアメリカ陸軍の象徴的存在となったが、その4年後にウィリスが民生用に仕立て直したCJ-1は、戦後の市販車市場で大成功を収め、不朽のオフローダーブランドの礎となった。
その血統に連なるモデルは、1986年にラングラーの名を与えられた。今回のテスト車であるJL型は、その4代目にあたる。大西洋を渡って英国市場へ投入された時点で、北米市場では実に24万台以上が販売された。フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)傘下に加わって以降、もっとも人気を集めるラングラーであり、グローバル規模でFCAの商業的な原動力となっている。この好調さは、キャビンの環境改善とより経済的なエンジンの設定によるところが大きいが、もうひとつ、見過ごしてはいけない要因がある。ブランドだ。
新型ラングラーが成功するために必要なのは、ルビコン・トレイルを制覇できる能力を、停車していても見るものに感じさせること。それこそ、ジープが新型のスタイリングをこれまでと明確には変えなかった理由だ。とはいえ、ジープはこのJLを先代以上に、そのオーラを歪めることなく強め、しかもデイリーユースでより従順な使いやすいクルマに仕立てようと挑んでいる。たしかに、ラングラー信者を喜ばせそうなリジッドアクスルや可倒式フロントウインドーは残されている。だが、欧州でのセールス拡大のために、ロードマナーの欠如や、ジープ好きなら甘んずるだろうインテリアといった由々しき特質を清算する必要に迫られたはずだ。その成果を、われわれなりに精査していこうと思う。